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才教ダイアリー

本気の一体感

投稿日:2014.10.04

2学期から、各学年でさいきょう祭の練習が始まりました。
 
今年の小学3年生は、演劇に挑戦します。ミュージカル以外の劇は、さいきょう祭で初めての試みです。演目は、「Peaceful  Peach」。原作は、誰もが知っている童話「桃太郎」。芥川龍之介や阪田寛夫などの文豪がたびたびパロディ化し、劇団四季でも演じられた話を参考に、時間20分・役者60人仕様にしたストーリーです。さいきょう祭に向けて、特に「一人ひとりが本気になって、心を一つにして最高の舞台を作り上げる」ことを意識して練習に取り組んでいます。
 
子ども達が演劇に取り組むということは、毎日が成長の連続です。今回は、その中のいくつかのエピソードを書いてみたいと思います。
 
演劇には、オーディションがつきものです。当然セリフの多い役には、たくさんの希望者が集まりました。台本を渡し、オーディション当日には、全員が本気で練習に取り組んだことがはっきりと分かる、想像以上の演技を見せてくれました。
 
しかし、希望の役になれるのは一人だけ。希望の役になれなかった子は、他の役をやらなければなりません。
その中でも、惜しくも「かぐや姫」にはなれなかったまでも、高い実力を持っていたAさんには、期待を込めて、演技の難しい他の役をやってもらうことになりました。
 
Aさんは、配役が発表された日の夜、「そんな役、やりたくない!」と、悔しさのあまり泣いてしまったそうです。とても心配しましたが、保護者の方や担任の先生とゆっくりと話をして、自分の中できちんと気持ちの整理を付けることができたようです。翌週の練習ではいち早く自作の小道具を持ってきて、堂々とした素晴らしい演技を見せてくれました。
 
そんなAさんの心から本気になって取り組む姿もあって、周りの子達も「負けていられない!」と、大はりきりです。
 
「先生、ここで是非こういう演技を追加したいんですけど‥‥」
「衣装の他にこういう小道具を用意してもいいですか?」
「A君、いつもの休み時間みたいな、大きい声でやろうよ!できるよ!」
 
劇を全員で創っている、という感覚が、私にも強く感じられ、日に日にそれが増しています。恥ずかしがったり、大きな声を出すのを躊躇したりする子たちも、そんな感覚の中で変わってきています。少しずつ声が大きくなったり、ある日を境に突然思い切り演じられるようになったりと、子どもによって壁の乗り越え方は様々で、それを目の前で見ていられる教師という仕事は、本当に幸せです。
 
本番まで、あと20日ほど。3年生達の劇を、どうぞお楽しみに!
 
小学3年3組 飯田 雅俊