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才教ダイアリー

「人のため」なんだ!

投稿日:2017.09.12

 毎年、小学2年生は、生活科の学習の一環として「さいきょう商店街」を開きます。廃品を利用して商品を作り、お店を開きます。お客さんは、1年生です。目指すは「売上第一位!」そのためにどんな工夫をするのか、お店ごとに考えます。「良い商品を作る。」「1年生の好みに合うような商品を作る。」「商品をたくさん作って、きれいに並べる。」「値段を安くして、たくさん売れるようにする。」「笑顔でお客さんを迎える。」「おすすめの商品を紹介する。」・・・。一生懸命に考え、それをお店作りに生かしていきます。


 


商品は、主に夏休み中に作りました。どの商品も一生懸命に作った力作ばかり。できた商品に値段をつけ、お店の看板を作り、準備は万端。


 


 そして迎えた当日。


「今日は楽しみ。」「たくさん売れるかな。」「なんか、ドキドキする。」


朝から、少し緊張ぎみでもあり、楽しみにしている子ども達の姿がありました。


いよいよ、さいきょう商店街、開店。


1年生が会場内に入ってきますが、なかなか大きな声を出せず、1年生が自分達のお店の前を素通りするのを、ただ、見守るだけの子ども達。


しかし、時間が経つにつれて、だんだんと声も出てきました。


「いらっしゃいませ。」「安いですよ。」「おもしろいですよ。」


大きな声で一生懸命にお客さんに呼びかけをする子。1年生に質問されて、商品の説明をする子。商品を整頓し、お客さんから見えやすいようにする子。たくさんの商品を売るために、それぞれが、自分なりに一生懸命に活動します。


そして、「全部売れました!」お店にあった商品が全部売れて誇らしげな子ども達の顔がありました。


 


後日、「売上第一位」のお店の発表がありました。売り上げ一位のお店は、たった一店。一位になれなかった子は、「ちょっと、私達、失敗しちゃいました。」「〇〇が、良くなかったのかもしれない。」など、一位になれなかった原因を話す姿がありました。 


その後のまとめでは、「さいきょう商店街を開いて良かったこと」をみんなで出し合いました。


「大勢の人の前でも、大きな声で呼びかけすることができるようになった。」「1年生にしっかりと説明できた。」「商品つくりは大変だったけど、がんばってやれた。」いろいろな意見が出る中で、「1年生が喜んでくれた。それを見て、自分達もうれしくなった。」「自分の作った商品を買ってくれた1年生がうれしそうに友達と商品を見せ合っていて、自分もうれしくなった。」という、自分のことではなく、お客さんである1年生が喜んでくれたことによって、自分達がうれしくなったという意見がいくつも出てきました。


 


「そうだ。売り上げ一位にはなれなかったけれど、1年生がとても喜んでくれた。それを見て、自分達もうれしくなったんだ。」


それは、世の中のお店を開いている人にも話が及びました。


「お店を開いている人も、お金をたくさんもらうことばかりと考えているだけでなく、お客さんに喜んでもらうことを考えているんだ。」


「お客さんを笑顔にしたり、幸せにしたりしたいと思ってやっているんだと思う。」


「お客さんが喜んでもらうことによって、自分もいい気持ちになったり、うれしい気持ちになったりするんだ。」


「お客さんが喜んでくれると、また、買い物をしてくれるんだと思う。」


そして、他の職業にも広がりました。


「お医者さんは、患者さんの病気を治して、笑顔になってもらうためにやっていると思う。」


「お米や野菜を作っている人は、それを食べた人がおいしいと喜んでくれるためにやっていると思う。」


「それって、才教学園で言っている『人のため』と同じだ!」


思わずつぶやく子がいました。


 


売り上げ一位を目指して一生懸命に準備をしてきた子ども達。一生懸命に取り組んできたからこそ、1年生が喜んでくれ、それによって自分達も満足感を持った子ども達。そして、それを世の中の仕事のことにまで結び付けて考えることができた子ども達でした。


「人のため」という言葉を自分達で導き出した子ども達です。この経験がきっとこれからの生活にも生かされてくると思います。


 


21組担任