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才教ダイアリー

ワクワクする「穴の世界」

投稿日:2018.02.13

 1年生の図工では、今「不思議な穴の世界」というテーマで絵を描いています。


初めに「みんなは、いつもどこで暮らしているのかな?」と問いかけると、「学校」「家!」などと元気な答えが返ってきて、そのうちに、「…地面の上」「地球!」などの意見も出てきます。


「じゃあ、みんなが暮らしている地面の下は、どんなふうになっていると思う?」と投げかけると、「う~ん…」と考えこむ子ども達。「アリの巣があると思います。」「ミミズが暮らしています。」「カブトムシの幼虫!」「恐竜の骨があるかも。」「宝の箱…?」一生懸命、想像を巡らせて答えてくれます。


 


そこで、「今日は“不思議な穴の世界“を、想像して描いてみましょう。」とテーマを提示しました。「不思議な穴」ですから、穴の形は自由、中身も自由、すべて自由です。


「うさぎとカエルが、穴の中でお相撲を取っていてもいいんですよ。」と、鳥獣戯画を例に挙げたところ、「えっ?本当に?」と、初めは驚きの表情を見せた子どもたちでしたが、すぐに、「おもしろそう!」と喜んで線を描き始めました。


 


 入学当初は鉛筆で下描きをしないと不安、という子もいましたが、今では「腕を大きく動かしてみよう。」と声をかけると、皆、思い切り良く腕を動かし、下描き無しでマジックペンで、画用紙いっぱいに穴を描くことができました。穴が描けたら、今度はそこに、思い思いに生き物や建物などを描いていきます。初めのうちは、「どうしようかな…。」と迷ったり考え込んだりする様子が見られましたが、次第に自分の絵の世界に没頭していき、シーンと静まり返り、どの子も夢中になって描いていました。休み時間には、お互いの描いた絵を見合って「へえ~、おもしろい!」「これ、いいね。」と、会話がはずんでいました。


 


 図工・美術は、どちらかというと、国語や算数などに比べ、重きを置かれにくい教科です。しかし実は、人が生きる上で欠かせない、大切な力を育む教科です。横浜美術館長の逢坂恵理子さんが、美術教育について「違う感じ方や価値観を尊重すること、他の人とは異なる新しいことに挑むこと、自由な発想を大切にすること、自分の体を使って物事を作りあげること、作品から刺激を受け、感じ、考えることを学ぶ場であり、“今の世の中だからこそ必要なのですよ“と、声を大にして言いたい。」とおっしゃっていますが、本当にその通りだと思います。


今回の絵も、自由な発想でのびのびと描き、自分の作り出す絵の世界を楽しみ、同時に友だちの作品の良さも十分味わってほしいと願っています。


 


 今年度の図工の時間も残り少なくなりました。来週は、絵の具で色を付けていきます。どんな素敵な穴の世界ができるか、私も子ども達と一緒に、ワクワクしながら見守っていきたいです。


 


1年生図工担当