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才教ダイアリー

出会いー山と自然の博物館にてー

投稿日:2014.08.25

今年、才教学園小学校・中学校は青少年赤十字に加盟した。参加校から児童・生徒が集まり、トレーニングセンターが松本青年の家で、8月1日から3日まで開催され、才教学園から中学2年生が2人参加した。2人とも元気だった。自分の弱点を克服したいということだったが、引率の先生によるとよく頑張っている、とのことだった。

激励に行った帰りにアルプス公園の「山と自然の博物館」に立ち寄った。青い空のもと、素晴らしい眺望を楽しみにして入館した。1階で展示物を見始めたところで声をかけられた。掃除をしている74歳の女性だった。話の始まりはどのようなことであったか、定かには記憶していない。

「腕を触ってみてください。」左の前腕だったが、確かに私より筋肉がしっかりしていた。「今でも片手で20kgの荷物を持つんです。」とおっしゃっていた。ご主人が39歳で亡くなり、一人で夫の親を介護し、3人の子供を育て、田んぼを耕して朝から晩まで働いたという。今の勤務先にも「車が運転できるようなら80歳まで使ってね。」と頼んでいらっしゃるという。「年下の社長より私のほうが記憶がいいんですよ。」
お話の中で一番感銘を受けたのが幼いころの話だった。69年前に太平洋戦争が終わったが、その最後の年には彼女は5歳だった。横浜に住んでいらっしゃったそうだが、空襲から逃げ回っていたとのことだった。

「当時の道路はコールタールで舗装されていたんです。」空襲になると、焼夷弾で溶けて道路を横切れなかった。だから「コールタールの上の亡くなった方を踏んで逃げたんです。」渡る前、渡りながら、手を合わせたという。「今でも私の足の裏に亡くなった方の感触が残っているんです。」「子どもたちには、何が何でも戦争をしてはいけないよ。」と諭してこられたそうだ。

今の平和で豊かな日本は、先人の血と汗の上に築かれてきている。この方からお話を伺って、本当にありがたいと感じたし、平和を保たなければならないと改めて決意した。才教の子供たちに、強い心を持って安心して生活できる世界を築くように、語り続けたいと思う。
 
校長 下辻 正孝