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才教ダイアリー

頑張って生きる

投稿日:2015.07.18

 才教学園小学校の6年生は、毎年6月に、2泊3日の研修旅行へ出かけます。行き先は東北地方で、今年度は、日新館や鶴ヶ城、平泉、そして東日本大震災で被災された東松島地区の見学をして来ました。


子ども達は、被災地を見学するにあたり、震災当時の様子が写された映像を通して、事前学習を行いました。映像からは、津波の恐ろしさや被害の大きさはもちろん、多くの方の命が犠牲になったこと、そして、今もなお、苦しい生活を強いられている人がたくさんいることなど、多くのことを学ぶことができました。楽しみにしている研修旅行ですが、決して軽々しい気持ちで行ってはならないこと、そして、未来を生きる人として、この現実をしっかりと見て来なければならないことを、強く感じた様子でした。


震災が起きたのは、子どもたちが1年生の頃。あの頃は、まだ幼く、何が起こったのか正しく理解するには難しい年齢でした。でも、6年生になって、改めて震災について学習すると、とてもつらい出来事であったことを感じ、「自分にできることはないのだろうか」と考えることができました。6年1組でも、DVD鑑賞後、「被災された方々のために、何かをしよう」と言う声が、多くあがりました。でも、何をすればいいのか、分かりません。募金、現地でのボランティア活動、励ます手紙を書く・・・子どもたちなりに、いろいろと考えましたが、いまいち、ピンとくるものはありません。そんな子どもたちに、私は、「現地に行き、自分の目で被災地を見て、自分の耳で被災された方の声を聞いて、自分のやるべきことを見つけて来ましょう。それが、みんなの目的です。」と話をしました。


研修旅行3日目。いよいよ被災地の見学です。案内していただいた東松島地区は、一面の草原の中に、何件かの新しい家と仮設住宅が建っている、そんな場所でした。一見、自然豊かな田舎町の風景なのではないかと思ってしまうほど、静かな場所でしたが、ここは、あのつらい出来事があった日までは、多くの住宅が建ち並び、民宿や海水浴場で賑わっていた場所なのです。ボランティアガイドさんに震災前の写真を見せていただくと、そんな賑やかな景色が映っていて、これがたった一瞬でなくなってしまったことを考えると、とても胸が痛みました。そして、ここに暮らしていた人々のことを思うと、本当につらい気持ちになりました。でも、ガイドさんは、「災害の時には、国内外問わず、本当に多くの人が力を貸してくれた。そういう助けがあったからこそ、私たちは、あの辛い状況の中でも生きることができた。」と、深々と頭を下げてくださいました。そして、「私たちには命がある。命があるということは、前に進めるということである。」と繰り返しお話しされました。復興はまだ不十分で、心の傷も癒えていないのに、私たちに対してそんな温かい言葉をかけ、前を向いて頑張っている姿を見て、子どもたちもそれぞれ、自分のやるべきことを見つけられた様子でした。


学校に戻ってきた子どもたちは、以前に比べ、どんなことも一生懸命頑張るようになったと感じています。その姿からは、「頑張って生きなければいけない」そんな声が聞こえてくるようです。これから先、長い人生を歩んでいく子ども達にとって、今回の研修旅行はかけがえのない経験となったように思います。これから先、苦しいことや辛いこともあるでしょうが、命ある限り、前を向いて進んでいってほしいと願っています。


小学校6年1組 担任