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才教ダイアリー

百聞は一見に如かず

投稿日:2017.10.03

 1年生の算数では、「ながさくらべ」「かさくらべ」「ひろさくらべ」など、何かを比べる単元がたくさん出てきます。どれも、2年生以降の『cm』『リットル』『面積』を学ぶ礎となる単元です。


 


「ながさくらべ」の単元では、3本のうち、どのヒモが一番長いのかを予想する場面で、こんなやり取りがありました。


 


A「伸ばしてみたらいいんだよ、頭の中で。」


B「そんなの無理だよ、どうやるの?」


A「え、だから、びよーんって。頭の中でさ。」


B「できないよー!」


C「実際やんなきゃ分かんないよ。」


 


頭の中でやってみる(=思考する、想像する)というのは、実はたいへん高度なことで、これができる生物は人間だけだと考えられています。そして完全なゼロから思考するのは誰にも不可能で、元となる体験や知識が必要です。また、今現在までに頭の中にあるものによって、一人ひとり違う考えが出てきます。(この後、実際に子どもたちがヒモを伸ばしてみると、①のヒモが一番長いと分かりました。)


また、「かさくらべ」の単元では、太さや高さの違う3つの容器のうち、どの容器が一番かさが多いかを考えました。


 


A「こうやってくっつけると、高さが違うから分かるよ!」


B「え、でも横幅はこっちの方が広いよ。こっちが大きいんじゃない?」


C「違う入れ物に移して、あふれた方が多いんだよ。」


D「? 何言ってるのか、よく分かんない。」


E「それより、コップに何杯分か試してみようよ!」


 


ジュースに見立てた色水で色々な方法を試すと、子ども達は「おお~!」と大はしゃぎです。よく分かっていなかった子も、「そういうことかぁ」と呟きました。


2つの単元の後にやった「ひろさくらべ」では、折ったり、重ねたり、マス目にして考えたり‥‥色々なアイディアが飛び出しました。


 


そのような実体験を踏まえてから、問題集に取り組んでみます。すると…


「な~んだ、こんなことか。」「これ、みんなでやったよ!」と、すんなり解くことができました。


 


 『国語はしっかり黙読して、書いてあることから人物の気持ちを考えよう』、『算数の文章題は図で思い浮かべよう。単位や図形のきまりを覚えておこう』、『音楽ではリズムや情景を考えて、観られていると思って歌おう』‥‥大人は当たり前のように出来ることでも、子どもには非常に大変な作業です。普通の1年生が(上の学年でも同じですが)、問題集や教科書をいくら眺めていても、理解することが難しい場合もあります。 


多くのことを聞いても、自分のからだを使って確かめること、つまり、実際に見たり試したりして、「ああ、なるほど!」と納得するには及びません。仲間同士で発見や気付きを言語化し、成長し合う‥‥そんな小さな『感動体験』の積み重ねを、日々、大切にしてほしいと思います。 


1年3組担任