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才教ダイアリー

おおきくなるっていうことは

投稿日:2019.03.12


1年生の3学期。国語では「どうぶつの赤ちゃん」という説明文の学習をします。子どもたちが一番驚いたのは、カンガルーの赤ちゃんの文章を読んだときでした。


カンガルーの赤ちゃんは、生まれたときはたいへん小さく、一円玉くらいのおもさです。目も耳も、どこにあるのかよく分からないけれど、口と前足ははっきりしています。赤ちゃんは、小さな前足でお母さんのお腹にはい上がり、自分の力で、お腹の袋に入ります。


 


実際に一円玉を持たせてみると、「軽すぎて持っているかどうかも分かりません!」と、その小ささと軽さに驚く子どもたち。カンガルーの赤ちゃんの生命力に感心したようでした。


 


「みんなは、どうだったんだろうね?」


自分が赤ちゃんだった時のことをお家の人に聞いて、作文を書くことにしました。


***


わたしは、20117月に生まれました。たいじゅうは2964グラム、しんちょうは47センチでした。生まれそうになってから3日かんもおなかにいつづけ、さいごはおかあさんのおなかをきって生まれたそうです。おなかにいるとき、まい日おとうさんがはなしかけてくれたせいか、ほいくきではこばれてきたとき、おとうさんが「パパですよ。」といったら、わたしは目をとじていたけれど、おとうさんのほうを見たそうです。じぶんではおぼえていないけれど、なんだかうれしい気もちになりました。はじめてねがえりをうった日も、ハイハイをした日も、あるいた日も、「ママ」といった日も、「パパ」といった日も、おかあさんはぜんぶメモしてあるといっていました。なきやまなくてこまったこととか、りにゅうしょくをぜんぜんたべなかったこととか、いろんなはなしをきかせてくれました。すこしはずかしくなったけれど、あったかい気もちになりました。


わたしは、おかあさんとおとうさんの子どもに生まれてよかったなあとおもいました。


***


みんなの作文を読んでいると、わたしまで心が温かくなりました。そして、7年前には、みんなもまだ生まれたばかりの赤ちゃんだったのだと思うと、すごく愛おしく感じられました。


 


 


ちょうど同じ頃、道徳の授業で「ちいさなふとん」というお話をよみました。


生まれたばかりの赤ちゃんを連れて、病院から帰ってきたお母さん。小さな布団で眠る、小さな小さな弟。「わたしがおねえちゃんよ。よろしくね。」と手を握ると、大事な宝物を持っているような気持ちになりました。お姉ちゃんはもう、同じ布団では寝られないほど大きくなっていました。


 


「お姉ちゃんの気持ち」を子どもたちに想像させると、「ふとんをゆずるときがきたんだな。」「この子も、わたしみたいにげん気に大きくなっていけるように見まもらなくちゃ。」といった温かい言葉が出てきました。


 


授業の最後に「おおきくなるっていうことは」という絵本の読み聞かせを行いました。


 


ようふくがちいさくなる


あんまりなかない


おもしろいことがどんどんみつけられる


じぶんよりちいさなひとがおおくなる


ちいさなひとにやさしくなれる


 


あと3日で、終業式です。


この一年で、一つおおきくなったみんな。やさしいお兄さんお姉さんになってくださいね。


 


1年1組担任


 


※今から8年前の3月11日、東日本大震災が起こったのは、1年生が生まれる前のことです。「どうぶつの赤ちゃん」の学習で見たDVD中には、震災の様子と東北の動物園の様子が映る場面があり、あわせて担任から、地震や津波の規模、被害の大きさなどを話しました。命の尊さを学んだ子どもたちは、少なからぬ衝撃を受けたようで、話を聞き、涙を流す子もいました。被害に遭われた方々の冥福を祈り、地震発生時刻の午後246分には全校で黙祷を捧げました。