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才教ダイアリー

「被災地に歌を届ける」

投稿日:2019.06.14

 5月下旬に行われた修学旅行。今年も6年生は福島、宮城、岩手の東北3県を巡りました。その中でも行程の2日目は、特別な思いを寄せる一日となりました。この日は東日本大震災で大きな被害を受けた石巻で、被災された方たちの前で合唱をすることになっていたのです。

6年生が歌った「ほらね、」は東日本大震災後に被災地の方々を勇気づける目的で2011年に作曲されました。昨年度のさいきょう祭での披露を機に、足掛け9ヶ月に及ぶ長い期間に渡って震災に向き合い、学習をしてきた子どもたちは、多くの側面から3.11を捉えていました。避難、救命、医療、原発、ボランティア、防災、復興にむけた活動。多くの人々の証言に触れ、人々の悲しみや怒り、無力さ、そして立ち上がる力強さを、子どもたちは感じてきました。

 

石巻市蛇田地区の復興公営住宅。集会所には30名ほどの方が集まってくださり、その中には高齢の女性の姿が目立ちました。はじめは緊張した面持ちで自信なさげに始まった歌ですが、指揮者の生徒を中心に気持ちが集まり、フィナーレに向けて歌は力強いものになっていきました。歌い終わると大きく温かい拍手をいただき、満面の笑顔の方、いつまでも拍手を続ける方、そして涙している方もいらっしゃいました。子どもたちの被災地の方への思いが歌に宿り、大きな喜びや感動を届けることができたのだと思います。

ガイドの方も歌声に感動し、「一回だけではもったいない。」とおっしゃってくださり、予定にはなかった二度目の機会が思いがけず訪れました。

公営住宅の次に訪問した南浜地区では、この日、「がんばろう! 石巻」の看板の前で震災3000日目のセレモニーが行われていました。その会場で、「もう一度。」というご提案をいただき、急遽発表することになったのです。一度目は今を生きている被災地の方へ、二度目はその地で亡くなった多くの方へ…。 

私がこの歌に出会ったのは、昨年の夏のこと。さいきょう祭の演目について当時の音楽担当の教員に提案されてから一年を経て、このようなかたちで子どもたちの経験につながるとは思っていませんでした。発表の機会をつくってくださったすべての方に、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

以下に紹介する子どもたちの感想からは、旅行を通して学んだことが垣間見えます。

「歌っている間に住民の方は少し笑顔になったり、泣いたりしているように見えました。歌い終わったとき、とても気持ちが良かったです。なぜなら、僕たちの震災に対する気持ちが伝わったと思ったからです。こんなに自分たちの気持ちがまっすぐに伝わったのは初めてだと思います。」

「私たちの歌を聞いていた人の瞳の中に光輝いたものが見え、顔もぱっと明るくなっていました。終わったあとに『ありがとう。』と言ってもらえて、少しでも被災者の方に寄り添うことができたと思い、とても嬉しいです。」

「僕たちのことをまったく知らない復興公営住宅の方々が、僕たちの‟ほらね、“」を聞いてくれるのは、その人達も僕たちの心に寄り添ってくれたからだと思います。どんなときもほんの少しでいいから相手の気持ちになってみることが、人に寄り添うことだとわかりました。」

 

6学年主任

石巻市蛇田地区 公営住宅集会所にて

石巻市南浜地区 3000日目のセレモニー

震災遺構として保存される大川小学校