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才教ダイアリー

「憧れ」~小さな1年生と偉大な9年生~

投稿日:2020.03.16


 体育祭の頃、クラスのA君が思わぬ話を聞かせてくれたのです。



 自分がこの学校に入ろうと決めた瞬間の話です。


 


 それは、A君が幼稚園のときに行われた、才教学園での交流会のときのこと。


 お世話をしてくれた優しいお姉さんたち、一緒に遊んでくれた元気なお兄さんたちの中に、一際強い印象を受け、大きな憧れを抱いたお兄さんがいたというのです。


「あのお兄さんのように自分もなりたい。だから、この学校に進もう!」


 


 A君は、見事入試を乗り越え4月に本校に入学。お兄さんは最上級生の9年生になっています。


 全校での体育祭練習が行われる時期になり、ようやく上級生の集団に憧れのお兄さんの姿を見つけたA君の胸の高まりは凄かったことでしょう。


 ついに再会を果たしたA君にとって、お兄さんの姿は、さらにはっきりとした目標になりました。


「ぼくも、こんな才教生になりたい!」と。


 そうして、私に初めてそのことを語ってくれたのです。


 


 A君の話を聞いた私は、幼稚園の年長という年歳でこんな志を持ったことに驚き、それほどまでに強い印象を与えた彼(お兄さん)が存在することに大きな喜びを感じました。


   


 A君は体こそ小さくて可愛らしい容姿ですが、この一年の頑張りは素晴らしいものでした。


 自分で「こうしよう!」という目標を立て、それに向かって努力できる、まさしく「努力家」という言葉がぴったり当てはまる生徒です。


 全く跳べなかった縄跳びは、この2か月で二重跳びができるほどに上達し、音読テキストは暗唱ができた証のシールでいっぱい。


 毎朝、本を一冊抱えて登校し、ランドセルを片付けて読書を始め、困っている友だちがいれば、自分のことを後回しにしてでも手を差し伸べる。


 きっと、あのお兄さんの姿を思い浮かべて行動しているのでしょう。


 数年後には心も体も大きく成長し、沢山の知識と技術を身に付け、立派な才教生として活躍しているA君を想像できるのです。


 


 さて、「新型コロナウイルス感染防止のための臨時休業」となってしまい、残りの3週間弱を前に今年度が終了してしまいました。


 最後となるであろう一日。子どもたちは、それぞれに様々な思いを抱えて登校してきました。


 前の晩から元気をすっかりなくしてしまったというA君。


 登校するなり、「みんなでお別れの歌を歌いたい!」と言い出し、涙を浮かべるB君。


 1年生なら、「明日から休みだ!」とはしゃいでもおかしくないのに。


 


 先ほどのA君は3月生まれで、「先生、ぼくの誕生日ケーキ、黒板に描いてくれる?」と心配そうに尋ねてきました。なぜかというと、誕生日の子がいる日は、黒板にケーキの絵とその子の名前をかいて、歌を歌ってお祝いしてきたからです。


 これから誕生日を迎える子がまだ3人いたので、ケーキ3個と名前を板書し、全員で元気いっぱい「ハッピーバースデー」を歌いました。


 


 帰りの会を終え下校する直前、B君のリクエストの「ありがとうさようなら」、みんなが大好きな「ありがとうの花」を歌って教室を出ることにしました。


 朝から涙もろかったB君が途中で泣き出すと、ほとんどの生徒がそれに続いて泣き出してしまいました。


 何度も歌詞に出てくる「ありがとう」の言葉を聞きながら、胸が本当に熱くなりました。数えきれないほど歌った「ありがとうの花」ですが、こんなに全力で心の込もった歌を始めて経験したような気がします。


 歌が済み「さようなら」をみんなで交わした後、子どもたちはさらに号泣。それは、バスに乗るまで、お家の方の車に乗るまで、続いたのでした。


 


 4月には2年生になるみんな。


 憧れのお兄さんのように、いつか卒業を迎え巣立っていくみんな。


 大きな志と強い意志、優しい心を持って、これからも勉学に励んで下さい。


 


 そして、1年生の憧れの9年生のみなさん。


 いよいよ卒業ですね。心からおめでとう!


          


1年2組担任