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才教ダイアリー

表現の先には...

投稿日:2020.11.06

「この気もちはなんだろう」

 

 このフレーズで始まる、谷川俊太郎さんの詩『春に』。これは、1415歳時の悩みや戸惑い、様々な葛藤等、複雑な思いが交錯する思春期ならではの心境を綴った詩である。

 ちなみに、この詩は中学3年の国語の教科書に教材として掲載されていて、授業では詩の内容を捉えると共に、その心境を音読で表現した。声の強弱や抑揚、読むスピードや間のとり方等、相手を意識しながら、その心境が伝わるように一人ひとりが工夫を凝らしながら音読表現を行ったが、誰もが『表現することの難しさ』を痛感したのであった。

 

 そして、今年のさいきょう祭で、9年生はその「春に」を合唱として披露することとなった。練習当初は、授業で習ったことを踏まえない、詩の意味を深く考えていないといった様子で、単に言葉をメロディーにのせて歌っているだけだった。

 それでも、練習を積み重ねていけばきれいなハーモニーとはなるのだろうが、それだけで聴衆の心を動かすことは到底できるはずもない。

 どうすれば思春期の心境を歌で表現し、聴衆の心を動かすことができるのだろう。

  一人ひとりが自問自答しつつ、アイデアを出し合いながら練習に励んだ。

 

・詩の一語一語の意味をよく考える

・言葉に感情を込めて歌う

・言葉に合わせ歌う表情を変える

・一語一語をはっきり声に出す

・声に強弱や抑揚をつける

 

 

 さいきょう祭本番。

最終演目である9年生のステージが始まった。英語詞での合唱「You Raise Me Up」、合奏「Let it be」、そしてダンス等の身体表現へと続き、最後に「春に」を歌う。

全員の心をひとつにし、主題を歌に託した精一杯の表現だった。

一人ひとりが全力を尽くし、今までで一番の「春に」を披露することができた9年生一同は、その歌唱により聴衆の心をも動かしたのである。歌い終わったあとに聞こえた、聴衆からの割れんばかりの拍手が何よりの証拠であった。

子どもたちが舞台から降りてくる。私は、薄暗い舞台袖に歩みを進める子どもたちの表情から、高揚感や充実感、達成感を感じ取った。同時に、今年度のスローガン「超越」をまさに一人ひとりが、そして学年全体としても体現し、全力を出し尽くしたように感じた。

 

 次は、いよいよ受験だ。聴衆の心を動かすほどの力を持っている君たちならば、高校入試という高い壁もきっと「超越」することができるであろう。私はそう期待してやまないのである。

 

92組担任