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才教ダイアリー

無言館からのメッセージ

投稿日:2020.12.08

 コロナ禍の今年度は、7年生の宿泊研修も他学年同様に行き先を県内に限定して実施しました。平和に焦点を当てる研修で必ず訪れていた松代象山地下壕は閉鎖中のために行くことができませんでしたが、戦没画学生の遺作を公開している無言館(上田市)はコロナ対策を徹底して来場者の受け入れをしており、見学することができました。



 一度に入館できる人数は20名以下に制限されているので、見学は学年を3つのグループに分けて行い、2棟ある展示館に順番に入館する方法をとりました。待機する1グループは、周辺を散策したり研修のメモをまとめたりして時間を過ごしました。建物周辺の木々はすっかり葉を落とし、物寂しい雰囲気を作り出していて、この美術館の思いが滲み出ているかのようでした。


 


 見学を終えた生徒は様々な思いを抱きました。その感想文から幾つか抜粋します。


 


「見学中、涙腺が緩むことが何度もありました。特に、彼ら(戦没画学生)の身内の言葉や涙が心に響きました」


「残された絵を遺族の方がどんな気持ちで守ってきたのか、思いを馳せることができました」


「10代であればほぼ私達の年齢で夢が絶たれてしまったことになるので、胸が痛くなりました」


「画家になることを一心に夢み、生きて帰って絵が描けることを願って戦死または戦病死した画学生の絵は、『生きたい』『絵を描きたい』と、無言で、そして必死に訴えているように感じました」


 


 表現は違っても、多くの生徒が画学生の作品と添えられた遺族のメッセージから感じ取った無念さや悲しみについて記していました。そして、戦争は悲しみと苦しみ以外何も残さないものであり、決して繰り返されることがあってはならないとの思いを強く持ったようでした。


 私自身、戦争は歴史上の出来事として学び知っているだけですが、無言館のような施設を訪れて当事者の思いに触れることで、ほんの少しではありますが、過去の現実を垣間見ることができます。感受性の高い7年生のことですから、そうしたことをより多く感じたことと思います。今回感じたことを胸に、より良い平和な世界を自分達の力で作っていけるようになってくれることを願っています。


 


7年1組担任