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才教ダイアリー

国語の授業より① ~小学校6年生・前編~

投稿日:2021.09.27

国語科担当・6学年担当



※宮沢賢治著『やまなし』、魯迅著『故郷』をお読み頂くと、子ども達の考えに一層近付けます。


※「国語の授業より」は、全4回でお届けします。


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 国語の教科書に掲載されている単元は、時代と共にブラッシュアップされていきます。しかし、核となる単元は30年も40年も変わらず掲載され続けています。小学校では『おてがみ』『スイミー』『ちいちゃんのかげおくり』、中学校では『少年の日の思い出』『走れメロス』『盆土産』など......大人の方々の記憶の片隅に残っているお話もあると思います。



 さて、小学校課程の最終学年である6年生は現在、宮沢賢治の「やまなし」の単元に取り組んでいます。クラムボンは笑ったよ、といえば、誰もが思い出す話かと思います。おそらく9年間を通して、最も「よく分からない物語」なのではないでしょうか。



 クラムボンって何? なぜやまなし?


 実は賢治自身、『注文の多い料理店』の序文などで、【これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。】と語っています。


 現代っ子からはそれに対して、「答えがないんじゃ、考えても意味が無いのでは?」「『それってあなたの感想ですよね』って言われてしまいます!」といった反応も返ってきましたが、この単元はSTEAMでいうところの『Art』的な感性に近いものだと感じています。人間にできて、AIにできないこと、としても『決まった答えのない中で考える、想像する力』は注目されています。答えがないことを楽しむ、という前提で、最初に読んでみての感想を書いてもらいました。



◆幻灯や水銀、黄金などの表現がとても美しくて、物語を読んでいるような、詩を読んでいるような、不思議な感じでおもしろいなと思いました。鉱石の名前などがたくさん出てきて、賢治は石が好きだったのかな、と思いました。最後まで読んでも、宮沢賢治は結局何を言いたかったのかと、よく分からないままでした。



◆この作品は、カニから見た情景で表されていました。そして波の動きなどを、言葉だけでどこまで表せるか頑張っていると思いました。意味がよく分からない言葉の中で、「やまなし」「かわせみ」などハッキリした言葉も出てきている中で、バランスが取れているように感じました。わざと分からないようにまどろっこしく書いているようでスゴイです。他の人がクラムボンをどう思っているかも聞いてみたいです。



◆クラムボンが何なのか気になりました。このお話の全てが「幻灯」の中を文章にしたものというところが宮沢賢治らしいと思いました。五月・十二月それぞれの時の場面を詳しく書いてあり、情景を想像しやすかったです。ちょっと「不気味」な話に感じました。魚が何を『取っている』のか気になりました。やまなし、水晶のつぶ、金雲母のかけらなどを見てみたいです。何だか話が途中で切れているような感じがして、その後のことが気になってしまいました。



①小学校6年生・前編


②小学校6年生・後編


③中学校3年生・前編


④中学校3年生・後編