投稿日:2021.10.19
本来ならば、4月に予定されていたオーストラリアへの修学旅行。コロナ禍のため海外への渡航は困難になり、行き先は国内に変更になりました。その後も感染状況の悪化に伴い延期の繰り返し... 一時はどうなるかと心配でしたが、日程の短縮、旅行先を県内へとさらに変更し、10月6日から3日間の修学旅行が実施されました。
「例年通りオーストラリアに行っていたら、今のこのような感謝の気持ちを自分が持つことはなかったかもしれない。この旅行に携わってくれたすべての人に感謝したい。」
「これからの人生において、きっとオーストラリアに行く機会はあるはず。その時に、今回の旅行の経験を生かして、現地の人に長野県の良さを語れるようになりたい。」
出発前日に行われた結団式では、多くの生徒から感謝の気持ちや、貪欲に学びたいという気持ちが込められた決意発表を聞くことができました。
出発の日の朝。指定された集合場所には、大きな荷物を持った9年生の姿がありました。誰ひとりしゃべることなく静かに待っている、その落ち着いた様子はさすがの一言でした。
1日目に訪れた象山記念館、真田宝物館では、資料に添えられた説明を熱心に読み、ときには写真も撮りました。松代藩文武学校では、当時の学び舎を散策したり、銃や大砲の稽古体験を楽しんだり、岩松院で葛飾北斎の天井絵に圧倒されつつ、説明いただくことにしっかりと耳を傾け、とても充実した時間を過ごしました。
2日目の高橋まゆみ人形館でも、スタッフの方のお話を聞いた後に、一つ一つの作品を食い入るように鑑賞しました。その後、熱心に質問したり、作業工程の紹介動画を真剣に見たり・・・生徒たちのこのような姿を見て、スタッフの方がとても感心されていました。平成生まれの子どもたちが、作品を通して昭和の時代に興味を持ち、何だか懐かしいような、心がほっこりするような想いを抱いてくれたことは、昭和生まれの私としても嬉しい限りです。
最終日、戸隠神社では美しい杉並木を散策したのですが、奥社までの道のりは途中からなかなか険しく、お互いに声を掛け合い、励ましあい、全員で無事到着。疲れはありましたが、厳かな気持ちで奥社でのお参りができました。
3日間かけて訪れた場所はどこも素晴らしいものでした。その中でも生徒たちが一番心を打たれ、感動したのは、『春蘭の宿 さかえや』さんで過ごした時間ではないでしょうか。旅館の随所に感じることができる心遣い、洗練されたお料理、そして従業員の方のきめ細やかな気配りと素敵な笑顔。心地よい空間で本物のおもてなしに触れた貴重な時間でした。
夕方の勉強会では、社長である湯本さんと従業員の方から、なぜ私たちが旅館でこんなに心地よく過ごせるのか、その答えのヒントとなる根底にある考え方や姿勢、具体的な取り組みについてお話しいただきました。生徒たちは背筋を伸ばし、一文一句聞き逃すまいと聞く姿は真剣そのものでしたし、『さかえや』のみなさんの言葉が生徒たちの心に染みわたっていくのを、私もその場で感じました。
最終日の朝、生徒一人ひとりにいただいた湯本さんからのお手紙と、従業員の皆さん全員からのお見送りは、何物にも代えがたい心温まるプレゼントでした。
修学旅行を通して、9年生の「素直に学ぼうとする姿」が随所に見られたことが本当に素晴らしかったと思います。「こんにちは」「こんばんは」と気持ちのよい挨拶で道ゆく人たちを笑顔にしていたことも、さすが才教生だと誇らしく感じました。
決して自分本位で楽しむのではなく、周りの人への配慮も忘れず楽しむ。そういったことが自然とできるようになった9年生が、以前より随分大人びて見えました。そんな成長を間近に感じることができ、私にとっても一生の思い出に残る楽しい旅行となりました。
学年付き・9学年担当
象山記念館
戸隠神社 奥社参道
旅館『さかえや』で一日の振り返り