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才教ダイアリー

モンスターからの学び

投稿日:2022.01.25

 3年生の図工の授業で、「やさしいモンスター」を制作しました。新聞紙と和紙を使用した、"張り子"モンスターです。 もちろん、ポイントは、名前の通り「やさしい」というところ。モンスターはモンスターでも、人を害するのではなく、人の役に立ったり楽しいことをしてくれたり、まるで友人のような存在を、生徒がそれぞれ考えます。


 まず行ったのは、「どんなモンスターがいてほしいか」のアイデアスケッチ。そして、セロハンテープと新聞紙でモンスターの芯となる土台を作るのですが、これがまた大変なのです。紙だけでモンスターを自立させるにはどうすればいいか、首と胴体をしっかりくっつけるにはどうしたらいいかなど、悪戦苦闘が続きます。 どうにか土台ができて安心したのも束の間、和紙(障子紙)を張り付けて頑丈にするという、ことさら大変な作業が待ち受けていました。


 小さく千切った和紙にでんぷん糊を薄く着けて、土台の新聞紙が見えなくなるまで貼る...単純な手順ですが、集中力と根気のいる作業です。当然のことですが、モンスターのサイズが大きいほど和紙で覆う部分が大きい。何人かの生徒は、そのことにやや絶望の色を滲ませつつ、「でも、やるしかない!」と制作を続けました。


 私が驚いたのは、黙々と作業を進める中で、「こうしたらもっと効率よく貼れるかも...」と、新しいことを試みる子どもが何人もいたことです。和紙を一片ずつ千切って貼るのではなく、まず和紙をたくさん千切ってからまとめて貼ると楽なんだ、と教えてくれた子。糊に少し水を混ぜると貼りやすくなるよ、と周りにアドバイスしていた子。


 単純な工程の中にも、自分なりに工夫する姿が随所に見られ、とても感心しました。


 図工は根気のいる作業が多い科目です。題材によっては頭も使うし、腕や手だけでなく体全体を使って制作することもあります。そうした状況下で、「手抜き」ではなく、効率よく物事を進める力を身につけることは、大人になったとき必ず役立つスキルだと私は考えているので、今回のことに驚きと子どもたちの可能性を感じました。


 さあ、勝負所を終えたら、あとは着色して完成です。作品ができあがり、「担任の先生にも見せてくる!」と息巻く子どもたちの嬉しそうな姿。正にここで生みだされたモンスターたちのように、これからも優しく成長していってほしいと切に願います。


3学年図工担当

完成間近。最終工程のニス塗り。

「やさしいモンスター」誕生!