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才教ダイアリー

"生き物"から学ぶ その1

投稿日:2022.10.03

 3年生の理科は、春の生き物探しに始まり、ヒマワリ、ホウセンカ、モンシロチョウ、アゲハの成長観察...と、1年の前半は「生き物三昧」です。


 1学期の初めに「虫が苦手な人は?」と尋ねてみると、2クラスとも半数以上が「実は虫が苦手」だということが判明しました。私の予想をはるかに超えていて、「これは前途多難...」と、モンシロチョウの学習の前にそう思ったことがよみがえります。


 しかし、観察を始めてみると、そんな心配は無用でした。卵から幼虫が孵化し、小さな体で動いているのを見て「かわいい!」。やがて、さなぎを作る場所を探し始めた幼虫が、ケースの縁を、それまでとは打って変わってすごい速さで移動するようすを見て、「まるで新幹線みたい」。
 名前を付けて何日も見守り、さなぎがついに羽化したときには、みんなで大喜びしました。ある日の昼休み、チョウを放ったときには、空に飛び立った追いかける子、「元気でね~!」と手を振りながら大声で呼びかける子等々...。白く小さな姿が見えなくなるまで、いつまでも見送って別れを惜しみました。
 試行錯誤の末、羽化する瞬間を目にすることもできました。日頃は元気で賑やかな子ども達が、しんと静まり返って羽化を見守る姿が印象的でした。また、何匹目かの羽化を待っているとき、「そろそろ羽化し始めると思います。」と言い出す子が何人も現れました。たくさんのさなぎを観察するうちに、どんな様子になったら羽化し始めるのか、その変化に気づき自然に体得していったようです。


 昆虫の育ち方を一通り学んだ頃、ふと思い立ち、私は「前より虫が好きになった人?」と尋ねてみました。すると、2クラスともほぼ全員の手が挙がったのです。これは、本当にうれしいことでした。もしかしたら、「育ち方の順序」を正しく覚えるより大切なことかもしれません。
 昔に比べ、昆虫の本や映像が溢れている世の中ですが、「実物を見て学ぶ」ことの大切さを改めて実感しました。


(その2に続く)

羽化したモンシロチョウを見る子どもたち

羽化したモンシロチョウを放す瞬間