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才教ダイアリー

さいきょうミュージアムを振り返って

投稿日:2023.01.31

 昨年12月5日から9日まで、保護者懇談会期間に合わせ、期間限定の「さいきょうミュージアム」を初開催しました。児童生徒の作品で学校を美術館にしてしまおうという前例のない試みでした。期間中は毎日、保護者の方と一緒に楽しそうに見て回る児童生徒の皆さんの姿が見られたり、低学年を中心に多くのクラスが図工の鑑賞授業として見に来てくれたりしました。初めてのことで準備も大変でしたが、やってよかったと思える企画になりました。


5年生 のぞいてみれば(工作)箱の中の不思議な世界がずらり。.jpg5年生工作「のぞいてみれば」 箱の中の不思議な世界がずらり


 「さいきょうミュージアム」は、校長先生が長年温めてこられた思いと、図工・美術科の日頃の願いが一致して実現したものです。全員が出展者であり、鑑賞者。ふつうの廊下展示ではなく、美術館のようなクオリティのある展示空間とすること。全校児童生徒が作品を見合うことを通し、「自己肯定感」と「創造力」を高め合える機会とすること。そのような場にすることを目指しました。


6年生 ムシムシマシーン(立体)サーキット場にすごいマシンが集結。.jpg6年生立体「ムシムシマシーン」サーキット場にすごいマシンが集結


 これは、本校のSTEAM教育に通じるものでもあります。1年生から9年生までが学年を超えた作品を見て、仲間のユニークな個性に気付く機会は、「多様性」の実感と理解につながったと思います。さらに、自分では決して思いつかなかった他者の表現にふれた時の、「あっ!その手があったか!」という体験は、他の教科における今後の発展的な学習に必ず生かされることでしょう。


7年生 くるくるクランク(工作)今回はモニター展示にも挑戦しました。.jpg(左)7年生工作「くるくるクランク」モニター展示にも挑戦
 (右)7年生模写「名画のワインボトル」模写作品をラベルに 


 作者に鑑賞者からのメッセージを届けるアンケート箱も設置しました。毎日100を超えるメッセージが寄せられ、それらは後日、作者に届けられました。作者たちは皆うれしそうで、寄せられたメッセージに驚いたり感謝したりする人もいました。このように、学年を超えた児童生徒の交流が生まれることや、おたがいに刺激し合い創作意欲を高める効果が期待できる企画になったこともわかりました。


8年生 家紋の回り灯篭(デザイン)インスタレーション作品としてフロアに展示。.jpg(左)8年デザイン「家紋の回り灯篭」インスタレーション(※)作品として
(右)9年工作「モビール」創意工夫に満ちた動く彫刻は大人気でした   


 期間中、来場された何人もの保護者の方から、「子どもたちの作品の素晴らしさにあらためて感心させられた。来年もぜひ」という趣旨の話をお聞きしました。図工美術の授業から生まれる作品群は、その子のその時の成長段階や気持ちが込められたもの。それらは教材との偶然のめぐりあわせで生み出され、同じものは二度と作れない奇跡のような創作物です。


 展示に際しては、生徒の作品すべてに敬意を払い、輝かせるひと手間を惜しまないこと。それをモットーに、これからも才教学園のアート文化を、主役の子どもたちを中心にして、力を合わせて盛り上げていけたらと思います。


美術科担当


※インスタレーション=作品とそれを展示する空間をひとつのアート作品として表現する方法。お客さんを取り込むという意味合いもあります。