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才教ダイアリー2018

命を救うための授業の様子から

投稿日:2018.06.22

 6月15日(金)に7学年の保健体育の授業で、「心肺蘇生法とAEDの使い方」を学びました。私も生徒達と一緒にその授業に参加しました。はじめに、以前テレビで流れていた日本赤十字社のCMを見ました。人々が行き交う町中の風景が映され、突然一人の人が倒れます。それに気づいた制服を着た少女が駆け寄り、周囲に助けを求めます。数人が助けに応じ、119番通報をする人、心臓マッサージをする人、AEDを使う人と役割分担をこなして命をつないでいきました。そして救急車で運ばれていくのを見届け、少女をはじめ、助けに応じた数人それぞれが自分の日常に戻っていくところでCMは終わります。目の前の人の命を助けるという一つの目的のために、見知らぬ何人かが力を合わせて手際よく動く様子に、私だけでなく生徒達も圧倒されているようでした。CMのあとは早速、人形を使った心肺蘇生法の説明を聞きました。そして実際に8つの班に分かれ人形に対しての心肺蘇生を一人ひとりやってみました。適切な箇所を掌でしっかりと押し続けることが難しいようでした。汗を流しながら一生懸命取り組んでいる様子が印象的でした。


そのあとはAEDの使い方の説明を聞きました。そしてまた8つの班に分かれ人形に対して実際にAEDのパッドを装着する手順を確認しました。心肺蘇生法・AEDの使い方それぞれのあとは、負傷者を発見するところから救急車が来るまでの一連の流れを各班で生徒一人ひとりが役割分担を交代しながらやってみました。私が見ていた班では、助けを呼ぶ声が小さかったり、心臓マッサージを数人で交代しながらやり続ける際の交代の仕方がスムーズにいかなかったりなどうまくいかない部分も多少ありましたが、ちゃんと学ぼう・習得しようという気持ちが表情に出ていました。その日の生活ノートには多くの生徒が、「今回学んだことを忘れないようにしたい」「この知識で人の命を救うことができる」「自分がこの状況になったら積極的に動きたい」などこの授業で感じたり学んだりしたことを書いていました。その日の午後には、何か困っている友人に対して「大丈夫?」「手伝おうか?」と声をかけている様子がいつも以上に多く見られました。このような気遣いが今後も続いてくれたらと思います。


 今後の生活において、自分の周囲の状況に今まで以上に関心を持ち、困っている人がいたらサッと手を差し伸べられるような行動力を持った人間になってほしいと願っています。


 


72組担任

ヘチマ学習から信州の自然の特異性を知る

投稿日:2018.06.19


 4年の理科では一年に渡ってヘチマを観察しますが、さてさて今年は大遅延です…。


 ヘチマは種の袋の裏書に「寒冷地は5月以降がまき時」とあり、「7~10日で発芽」、「葉が3~4枚になったらポットから植え替え」とあります。


 


5月12日[0日目]


気温が25度まで上がった暑い日。期待に胸を膨らませポットに一人一粒の種をまきました。順調に育てば、体育祭前にはスケッチです。しかし、待てど暮らせど芽は出ません。


 


5月24日[12日目]


ようやく発芽第1号! 約60個のポットから3つほどの芽が出ました。翌日からやまびこドームで体育祭の練習を予定していたので、「頑張っているうちに、どんどん増えるといいね」と、みんなで畑に出向きポットに声を掛けました。


 


5月30日[18日目]


ようやく子葉のスケッチができるようになりました。(ちなみに、教材の解説文では『種まきから5~7日』の設定。)


 


6月14日[33日目]


葉がようやく3~4枚になり、ポットでの最後のスケッチを行いました。


 


6月18日[37日目]


念願の畑への植え替え。『種まきから14~18日程度』が標準ペースとあるので、倍以上の時間を費やしました。どうやら南国原産のヘチマはとにかく寒さに弱く、5月は最低気温10度を下回る日が多かったこと、6月も20度を超える日が少ないなど、いくつもの要因が重なってしまったようです。


 


5年の社会で、信州は『中央高地』という気象区分で、夏の清涼な気候を利用したレタス栽培が盛んだと習います。そのひとつ手前の4年生ではありますが、ヘチマの成長の大遅延は、信州の特異な気候を知るよい機会になったと思っています。


さて、例年は夏休みにヘチマの実がつき、2学期始業日には、大人の腕程に育った実に「いつの間にこんなに大きくなったんだ!」と驚く展開だそうですが、この遅れだと、生徒たちと一緒に花の観察や、若い実の試食(キュウリ大のものはおいしいらしい)もできるのではないかと期待が膨らみます。


 


4年理科担当


いざ、修養と研鑽の旅に向けて!

投稿日:2018.06.15


 期末テストが迫る今日この頃。忙しい最中ではありますが、現在、6年生は研修旅行準備の真っ最中です。体育祭が終わったあたりから始めた事前学習は、「研修」という言葉の意味を考えることから始まりました。子ども達からは、「修行?」「研究?」というなどという答えが出てきましたが、正解は「養」と「鑽」。


「修養」とは、徳性をみがき人格を高めること。「研鑽」とは、学問などを深めること。つまり、「研修旅行とはただの物見雄山の旅行ではない。楽しみは、しっかり『研修』を行った先にある」のです。このごく当たり前の話を生徒たちは真剣に聞き、研修旅行への意欲を高めていきました。


 その後、統率係・食事係・学習係・保健美化係の各係に分かれて、具体的な活動を進めました。先日の統率係の話し合いでは、研修旅行における学年目標が決まりました。それは、「一寸光陰」。この貴重な体験を、大切な仲間たちと一瞬一瞬大切に過ごしたい、という思いを込めたものです。実に今年の6年生らしいな、と感じました。


 さて、研修旅行は6月25日(月)から27日(水)の3日間。初日は福島の野口英世記念館や会津藩校・日新館、2日目は東日本大震災の被災地、大川小学校跡へ。そして最終日は日本三景のひとつ、松島と世界文化遺産に登録されている中尊寺を訪問します。


 前述のとおり、物見雄山の旅ではなく、しっかり学び、しっかり体験し、確かな『修養と研鑽の旅』となるように、全員で頑張ります。


 


6学年主任・62組担任


確実に育つ思いやりと責任感 ~5年宿泊研修の行動から~

投稿日:2018.06.12


 5年生は6月7日、8日に愛知県へ宿泊研修に行ってきました。知多半島の美浜に宿泊し、トヨタ自動車高畑工場、トヨタ会館、トヨタ産業技術記念館、そして伝統工芸の学習として木曽漆器館を訪問しました。


この研修で子どもたちはたくさんのものを目にし、耳にし、実際に触れ、教科書や映像だけでは知ることのできない多くのことを学習しました。また、班長を中心に見学の順路とタイムスケジュールをしっかり話し合っていたおかげで、班ごとの活動はスムーズに進みました。


しかし、班内の意見がはじめから一致していたわけではありません。早く次の場所に移動したい子、とどまってじっくり見学したい子、…関心は人それぞれです。そうしたときにお互いに譲り合う姿勢や、ほかの見学者への配慮から必要以上に大きな声で話さないように心がけるなど、5年生の思いやりがはっきりと見て取れました。


再び集合する場所と時間を告げた私は、すべての班がきちんと戻ってくるか心配していましたが、そんな心配は不要といわんばかり、全員が無事に集まることができました。


こうしたこと以外にも、係としての責任を果たそうと食事場所をきれいにしたり、部屋のベッドメイクにこだわったり、仲間の健康管理に気を遣ったりと、細かな努力を続けることができていて、教員の指示に頼るばかりではなく、自分たちで話し合い、解決する力が徐々についてきたと感じられた場面がたくさんありました。


 


本校ではⅡ、Ⅲ期の生徒には毎年、宿泊を伴う学習があります。そのスタートとして、5年生の宿泊研修には多くの学びがありました。今回得られた経験を元に、この1年、そしてその先の研修にも生かしてほしいと思います。


 


5学年主任・51組担任



 



 

美浜の景色

木曽漆器館

やり切った達成感

投稿日:2018.06.08


5月27日(日)に第14回体育祭がありました。2年生だった昨年と比較すると、3年生となった今年は、かけっこから短距離走になったり、玉入れから棒引きになったりと出場競技が大きく変わりました。そして、その競技にどう立ち向かうかが勝負のカギになりました。


 


まずは、短距離走。


昨年までとちがう所は、50mの直線コースだったものが、距離は100mに延び、コーナーがある点です。やはり、コーナリングは難しかったようで、練習ではコースアウトが続出しました。一生懸命走っても、どうしても自分のコースからはみ出てしまう子が多かったのです。しかし、何回か練習を終えて、いよいよ本番のとき。コースアウトは練習よりも少なく、ほとんどの子がきちんと、そして颯爽と走っていました。距離が長くても、コースが難しくても、やり切ることができました。


 


次は、棒引き。


この競技は4年生と協力して行うものです。初めはどんな競技かもよくわかっていなかった子どもたち。徐々にやり方を覚え、作戦も考え始めました。休み時間になると、リーダーたちが「作戦会議をするので、集まってください。」と声をかけてくれました。両チームともどうすれば勝てるのかと真剣に話し合いを繰り返しました。まずは自分の引く棒を確実に取る方法・・。棒を引く態勢はどんなものがいいか・・。たくさん考えていました。そして大事なことは「粘りだ!」という結論に至り、本番では両チームとも熱い戦いを見せ、いい意味で「あきらめの悪い戦い」を見せてくれました。


 


今までとは違い、自分たちで話し合い、仲間や先輩と一緒にたくさんのことを学べた体育祭となりました。勝負にこだわり、最後の最後まで戦っている姿は本当に素晴らしいものでした。嬉しさと悔しさをどちらも味わうことができ、一周りも二周りも成長できたこの達成感と経験を、これからも生かしていきたいと思います。


来年は4年生。棒引きや綱引きのリーダーになります。今から力を蓄え、活躍する日を目標に頑張る子どもたちを応援していきます。


 


3学年主任・3年1組担任


1年生のお手本になる

投稿日:2018.06.05


 4月から新年度が始まり、はや2か月が過ぎました。


新学年になってから、1年生のお兄さん・お姉さんになるということで、ワクワク感いっぱいのスタートになりました。そこで、2年生の1学期の目標もずばり「1年生の手本になる」。いろいろな面から、1年生のお手本になれるように日々奮闘している2年生です。


 


まずは、学校案内。


生活の授業の一環として、学校内の教室や施設を前もって調べておいて、1年生に説明しました。たくさんの質問に答えたり、優しく連れ添ったりする姿が微笑ましく思いました。一緒にいる姿を見て、頼もしさもありました。


 


そして、体育祭。


1年生といっしょに行う玉入れでは、2年生が作戦を考えて、その作戦を伝えたり、投げ方を教えたりと頑張る姿を見せてくれましたが、一番お手本となれたのは、入場行進の練習でした。入場行進の練習を始めた頃、1年生から縦・横の列の揃った行進をお手本として見せてほしいという話がありました。もっと大きい先輩たちのお手本は本当に素晴らしいものですが、2年生のお手本も、1年生から自然と拍手が起こるほど素晴らしいものでした。その数日前は、列も手足の動きもなかなか揃わずにお手本になるかなと思っていましたが、その1回は「絶対良いお手本を見せる!」という気合を感じました。こういう時に力を合わせて凄い力が発揮できる2年生なんだなと嬉しく思いました。


 


これから遠足やさいきょう商店街で1年生と触れ合う機会はまだまだあります。


よきお兄さん・お姉さんとして、2年生みんなの活躍が楽しみです。


 


2学年主任・21組担任


1年生から見た体育祭

投稿日:2018.06.01


5月27日(日)に才教学園の三大行事のひとつ、体育祭がありました。1年生にとっては入学してから初めての大きな行事です。学校にもようやく慣れてきた時期、登校してから昼まで練習が入る日もあり、慌ただしく生活してきました。授業ではひらがなや数の仕組みを理解し、さらに、体育祭の練習では競技や開閉会式のことを教わって…と、1年生にとって覚えることが山ほどありました。行進のポイントや競技のルール、応援の仕方などを必死に覚えました。頭がパンクしてしまうのではないかと心配しました。そんな中でも、弱音を吐いたり、途中で投げ出したりする生徒は誰もいませんでした。それどころか、覚えられない自分に悔しがり、泣きながらも練習をする姿が健気であり、かっこよくも見えました。


 


 ここまで1年生が一生懸命になれたのはどうしてかを考えてみました。


 それは、かっこいい上級生の背中が常に目の前にあったからでした。すぐ上の2年生、Ⅰ期のリーダーである4年生、学校全体のリーダーを務める9年生、応援団、応援委員のみんなが、先陣を切って「才教生の姿」を見せてくれました。2年生は玉入れの投げ方の見本になってくれたり、4年生は綱引きのポイントを分かりやすい言葉で説明してくれたり、上級生は応援の演舞動作を丁寧に教えてくれたりしました。


何事にも必死になって取り組んでいた先輩たちが、本当に良い手本になってくれたおかげで、1年生も最後まで頑張り抜くことができました。


 


 さて、私は終わった後が大事だと思っています。行事から得たものを普段の生活に生かしてこそ、意味があります。1年生は「きびきびと ぜんりょくで」を目標にして取り組み、全員がそれに近づくことができました。だから、今まで以上にランドセルの片付けを素早く行い、朝読書をする。移動教室がある時には、すぐに用意を済ませ、整列して静かに待つ。教室がきれいになるまで清掃を行うなどができるようにならなくてはなりません。体育祭で得たものを生かし、これからも頑張り続けます。


 


1年生、これからの生活も、「きびきびと ぜんりょくで」いきましょう!


 


1年3組担任


体育祭を牽引し、そして支えた9年生!

投稿日:2018.05.29


 27日(日)にやまびこドームで第14回体育祭が行われました。徹底的に勝負にこだわる才教学園の体育祭は、毎年大熱戦が繰り広げられます。今年度も大いに盛り上がりましたが、例年以上に光っていたのは9年生の働きです。


 体育祭ではあらゆる場面で9年生のリーダーシップが求められます。全てを統括する体育祭実行委員長と副委員長、赤白両チームを導くキャプテンと副キャプテン、チームを鼓舞する応援団長と副応援団長、そうしたリーダー達は最前線で全校をまとめ、体育祭実行委員の各係長と副係長は、体育祭が滞りなく運営できるように目を配って縁の下で支えます。


 9年生という年頃は思春期真只中ということもあり、何となく気乗りしない様子の生徒もわずかながらいて学年のブレーキになってしまうことがあるものですが、今年は全員が同じ方向を向いて、全力で走っていました。しかも、お互いの様子を気にしながらです。自分の仕事に責任を持って取り組むのはもちろんのこと、手が足りない係には、率先して手伝いに行っていました。本番前の準備で、教員があれこれ言う前に自分達で考えて動き、男女の分け隔てなく仲良く協力して作業する姿は、見る者の心を温かくしてくれました。


 当日、正副実行委員長・両チームの正副キャプテン・正副団長達は大いにリーダーシップを発揮し、実行委員はクルクルとよく動き、学年としても各競技や応援に全力で取り組み、「これぞ最高学年!」という姿を後輩達の目に焼き付けました。勝負の結果は出たものの、体育祭を終えた9年生の顔は、誰もがやりきった満足そうな表情でした。


 


周囲に気を配り、互いを思い遣って、仲間と一緒に全力で目的へ向かうことのできる9年生達。修学旅行に体育祭と、大きな行事は終わりましたが、今年度は始まったばかりです。彼らの清々しい活躍はまだまだ続きます。今後の9年生の活躍にも、どうぞご期待ください!


 


9学年主任・9年2組担任


学校を背負って立つ人材に

投稿日:2018.05.22


 8年生は半年後には生徒会を引き継ぎ、学校を背負って立つリーダーになります。リーダーは時に、周囲に対して「あれができていない」「もっとこうしなくてはいけない」と厳しいことも言わなければいけません。その上、自分ができていないのに誰かに注意をしても、おそらく素直に聞いてはもらえません。「この人が言うなら仕方ない。」そう思ってもらえるような、常に手本となる姿が今の8年生の目標です。


そんな中、他学年と共に活動する今回の体育祭は大きな成長の機会です。体育祭の練習が始まる前に開いた学年集会では、一人ひとりどのような手本となるか、その決意を発表しました。


7、8年生が合同で行う競技「台風の目」では、8年生が7年生を引っ張ります。リーダーを中心に作戦を立て、走順を決め、練習に取り組んでいます。授業の時間以外にも始業前と放課後の時間を使って、参加できる人が積極的に自主練習を行う姿も見られます。自分達の練習だけでなく、障害物のバーを跳べない人や、今年初めてこの競技をする7年生にもアドバイスをするなど、赤白共に日に日に上手になってきています。


競技練習の姿も大変立派なのですが、私が感心している点は、それ以外のところにあります。それは、みんながすべてのことにひとつも手を抜かずに取り組んでいるところです。


キャプテンの指示をよく聞く、一つひとつの指示に返事をする、移動は駆け足で行う、集合時間を守る、行進で指の先まで伸ばす、足をしっかりあげる、あいさつをしっかりする、応援練習で声を出す……そういった競技以外の大切な部分を率先して行う様子から、まさにこの8年生が、これから才教学園を背負って立つ者としてふさわしい器を持っているということを実感しています。


 


いよいよ今週末に迫った体育祭。赤組と白組、共に高めあってきたチームがどれほどの激闘を見せるのか。


そして、体育祭を通して、生徒たちがどれほどの成長を見せてくれるのか。


今から楽しみです。


 


8学年主任・81組担任


「自分一人ぐらい...」がチームを壊す

投稿日:2018.05.18


 7学年は「良き友を大事にしよう!美しいチームにしよう!」を最大のテーマに、日々の生活を送っています。


少し前の話になりますが、4月21日()の7学年合同HRで、『樽の中のワイン』の話をしました。いろんなシチュエーションが存在する話ですが、その中のひとつを紹介します。


 


***




山奥のユダヤ人の村に新しいラビ(ユダヤ教における宗教指導者)が着任することになり、村人たちはラビが着任する日に、祝いの宴を開くことにした。教会堂の中庭に空の樽を用意し、宴の前日までに村人それぞれが一升の酒を樽の中に注ぎ入れることにした。


 当日までに樽はいっぱいになった。ラビが到着すると、村人たちはラビを住まいに案内し、教会堂で祈りを捧げた。その後、祝いの宴となった。しかし、どうしたことだろう、樽から注がれる液体はまったく酒の味がしない。まるで水のようだった。長老たちは新任のラビの手前、戸惑い、恥じ入った。突き刺すような静寂が立ちこめた。しばらくして、隅にいた貧しい村人が立ち上がって言った。


 「みなさんに告白します。実は、みんなが酒を注ぎ入れるだろうから、わしが一升分ぐらい水を入れたって、誰にも分からないだろう。そう思ったのです」。間髪を入れず、別の男が立ち上がった。「実は、おれも同じことを…」。その後、次々に「わしもです」「おれもです」と言いだし、とうとう村人全員が同じことをしていたと分かった。



***



 


 この話の教訓は「自分一人くらいさぼっても…」が広がるとチーム・集団・組織は崩壊するということ。誰かのさぼりや手抜きは、それを尻ぬぐいする人がいる限りは表面化しません。しかしながら、尻ぬぐいをする人よりも、さぼる人や手抜きをする人の方が多くなると一気に問題が表面化してきます。


 


体育祭の練習が盛んな今の時期、準備運動で8年生や9年生が、「全員で声を出して体操!」と号令をかけます。しかし、実際に声を出して体操しているのは三分の一程度しかいないように感じます。そんな時には必ずと言って良いほど、先生やリーダーから「全員で声を出して体操って言わなかった?」との声が飛びます。誰一人言い返しませんが、その表情には“自分が声を出さなくても誰かが声を出してくれるだろう”という思いが表れています。


そんな人に、私はこう伝えます。


「全員がそう思ったらどうなる?一人ひとりが『自分のチーム』だと思わなくてどうする?」と。


「みんなのチーム」というととても聞こえが良いですが、そこに「自分一人ぐらい、少しぐらいさぼってもいいだろう」という甘えが隠れてはいませんか。「自分の汗と知恵がチームを支えている」という強い気持ちを一人ひとりが持つこと、それが「自分のチーム」という言葉の本来の意味だと思います。この気持ちが結集した「みんなのチーム」は無敵だと思います。


 学年・学級でも、些細なことであってもさぼる人が居る限り、学年通信のタイトルにもなっているLa Belle Equipe(フランス語で意味は良き友・美しいチーム)にはなりません。生徒には『樽の中のワイン』の話以外にも、『星火燎原』…‟最初は小さい力のものが、成長して強大になり手に負えなくなること”という言葉を贈りました。小さな火種はいつの間にか大きな火となります。忙しい時期だからこそ、そして新しい学年に慣れてきた今だからこそ、原点に戻り、立ち止まって考えようと伝えています。


このようなことを続けて1ヶ月半余りが経過した現在、7学年の生徒は素直さゆえ、1回伝えればすぐさま吸収し、実践することができます。毎朝唱える「才教の心得」も一時声が小さくなりましたが、今は出し惜しみすること無く、全員が声を張って唱えています。体育祭においては体操のかけ声、応援練習の声が、一人、また一人と全力の声出しができる生徒が増えています。自分のチーム、自分の学年、自分の学級という意識が強まってきた証です。授業の受け方や提出物など、気の緩みからくる小さな火種が見受けられると、それを大きくしないようにと生徒達は自浄(=お互いに注意し合い、修正していくこと)ができるようになってきました。これも先に述べた言葉を素直に捉えてくれたことのあらわれです。


 


話を体育祭に戻しましょう。


第14回体育祭まであと1週間余り。


 


One for all, All for one


ひとりはみんなのために みんなはひとつの目的のために


 


 全員が「自分のチーム」という強い気持ちで顔晴れ!!


赤も白も勝利を目指して顔晴れ!!!!!


 


7学年主任・7年1組担任