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才教ダイアリー2020

1年生、待ちに待った遠足!

投稿日:2020.10.02

 9月18日に、1・2年生は合同遠足で松本市アルプス公園へ行きました。6月の予定が延期となっていただけに、子どもたちの楽しみもひとしおです。


今回歩いた山道のコースには、2人が横に並んで歩けないくらい細い道や、急な登り坂である「養老坂」という場所がありました。さらに当日は雨で足元がぬかるみ、1年生にとってはやや過酷なものとなってしまいました。


それでも、2年生に手を引かれ「悪天候もなんのその!」と、どんどん進んでいく1年生。入学時からの心身の成長を感じました。


ふと、「この後、みんなで虹が見られたらいいね!」という声。


みんなの気持ちが、より高まりました。


 


山道を歩き終えたころには雨も止み、シートを広げてお弁当の時間です。それまで疲れた表情を見せていた子どもたちも、お家の方が作ってくれたお弁当を食べて笑顔と元気を取り戻したように見えました。


遠足の後半は「小鳥と小動物の森」を散策。シカ、サル、イノシシ、ポニーやクジャクなどを間近に見た子どもたちの目はとても輝いていて、教室を飛び出した1日で様々なことを学び、感じることができただろうと思います。


 


雨で濡れたり汚れたりすることを嫌がり気持ちが沈んでしまうかなと思っていた私の心配は杞憂に終わり、子どもたちが互いに励まし合って頑張る姿や、元気いっぱいに遊ぶ姿、可愛らしいカッパ姿に癒された遠足でした。


 


道中、2年生のおにいさん、おねえさんたちの励ましのおかげで、1年生は誰ひとりとして弱音を吐くことなく最後まで歩き切ることができました。


 もし来年、1年生と一緒に活動するときは(もちろん、もっと大きくなってからも)、自分たちがそうしてもらったように、周囲の人に前向きな言葉をたくさん伝えられる人になっていて欲しいです。


 


1年3組担任

最後の入場行進 ~9年生のミニ体育祭~

投稿日:2020.09.25

 今年に入ってから新型コロナウイルスの影響により、各地でも学校休業や行事の延期・中止などが相次ぎ、才教学園でも三大行事の一つである体育祭が中止となりました。


 体育祭は小中一貫校の特性を活かしつつ、生徒一人ひとりが徹底して勝負にこだわり、学年や立場を超えて全員が一致団結してチームの勝利を目指すものです。毎年、生徒は「今年も優勝する!」「今年こそは絶対に優勝する!」「先輩を目標に!」という思いを抱きながら体育祭に挑んでいます。しかし、今年の体育祭は、学校としても苦渋の決断で中止せざるを得なくなりました。多くの生徒や保護者のみなさん、そして教職員も楽しみにしていた行事であっただけに非常に残念でなりません。 


三大行事としての体育祭は中止になってしまいましたが、2学期の授業参観を利用して、9年生だけの『ミニ体育祭』を実施することが決定しました。「9年生には何とか最後の体育祭をやらせてあげたい」という思いで、校長先生をはじめ学年の先生が時間を調整してくれたのです。


 


授業参観当日。グラウンドの準備を自分達でササっと行い、生徒たちはすぐに入場門へ移動。9年生45人の体育祭です。


思い返せば、8年前の体育祭の会場は、今では恒例となったやまびこドームではなく、まだ学校のグラウンドでした。1年生だったあの頃は、最初の笛の合図からしばらく経つと徐々に列が崩れていったものです。何度行進の練習をしても、手足が一緒になってしまったり、張り切り過ぎて曲に合わせられなかったり…。そんな頃を懐かしく思い出している私のそばで曲がスタートし、「最高の仲間」との「最後の入場行進」が始まりました。


 


◆8年前=1年生◆


  200925-1 写真1(1年次).jpg


◆現在=9年生◆


  200925-2 写真3(9年次).jpg


 


 いかがでしょうか?


小さな体で一生懸命に行進していたころと比べると、その差は歴然。


今年は日常的な学習のほかさまざまなことに追われるような毎日で、体育祭の練習にかける時間はほとんど確保することができませんでした。そのような状況にも関わらず、一糸乱れることなく凛々しい姿を見せてくれた9年生。目に焼きつくほど美しく、私は素敵な行進に目を奪われ、これをしっかり目に焼き付けておこうと思いました。 


その後、生徒たちはミニ体育祭本編のタイヤ取りでも全力を出し尽くし、共に戦い抜いた仲間と喜びや悔しさを分かち合うことができました。


才教学園の体育祭での入場行進は最後となりましたが、9年生にはこれからも自分が進むべき道を信じて力強く歩み続けてほしいと願っています。


 


9学年担当


 200925-3 diary 写真.jpg

7年生、初めての技術科

投稿日:2020.09.18


 中学校課程で生徒が出会う教科が「技術科」です。


まず製図の学習を終え、次の課題は木材加工です。「のこぎりや金づちなどの道具を使うのは、ほぼ初めてに等しい」という生徒も多数いる中、今年、皆が挑戦する教材の第一歩は“ペン立て”です。


彼らが作るペン立ては小さな教材ではありますが、色々な要素が盛り込まれています。作業の工程は、材料への製図である「けがき」からスタートします。差し金を使って線を引く生徒たちの目は、「1ミリも間違えないように!」と、真剣そのものでした。


線の点検後、材料を固定してのこぎり引きに移ると、最初に刃を入れる位置がなかなか定まらない…と、幾分苦戦している場面も見られました。ここをクリアするため、生徒たちは「こうしたらいいよ」「こんな角度で刃を入れると楽だよ」などと声を掛け合い、お互いに協力している姿を見て、私はこう思うのです。


「今年の7年生(=中学1年生)も、次に渡す難易度の高い本教材をきっと上手に扱っていけるだろう。」


 


さて、最近は技術科にも新しい波が押し寄せ、プログラミングが必修となりました。このプログラミングは、次世代の大きな課題です。しかし、どことなく、技術科本来の醍醐味である「ものづくり」の割合が減ってきている気がします。


本校の生徒は、7年だけでなく、8・9年生も「ものづくり」が大好きです。加えて、そこには「単に作ることが好き」というだけではなく、でき上がった作品のクオリティーも高いということを指導者として感じています。手を使うこと、材料の温もりや香りを感じることなど、五感を使った授業ができるような指導で生徒たちに必要な技術を身につけてもらうことも、本校が謳っている感動体験の一角を構築するものと考え、今日も技術室で生徒たちを待つ私です。


 


技術科担当


数才クラス、待ちに待った活動開始! その2

投稿日:2020.09.15

その1からの続き〉


 


〔7年生が作成した問題〕


a2+b2+c2=2020 であるとき、


自然数abcを求めなさい。


ただし、abcとする。


 


 よく答えが見つかったなぁ、と感心してしまいます。


 


 


〔9年生が作成した問題〕


「とっとこハ○太郎」の主題歌を聞いて分かる通り、そう、彼は滑車でまわることが大好きなのです。そんな彼はある日、いつも通り直径20cmの滑車で遊んでいました。


次の条件のとき、彼が合計10,000回転するときにかかる時間を求めなさい。ただし、答え方は何時間何分何秒で答えなさい。





































条  件





通常時、すばしっこい彼は1分間に滑車を100回転します。





いくらハ○太郎と言えど疲れることがあります。連続で500回転したら、10秒かけて逆方向に10回転して減速し、滑車をとめて水を飲んで休憩します。





②で逆回転したときには、通常の向きで回った回転数から逆回転で回った回転数をひいて、合計回転回数とします。





滑車をとめた15秒後には、休憩を終えてふたたび滑車をまわり始めます。





1分間に100回転する速さになる前には、10秒かけて10回転をして加速する必要があります。





休憩するまでの500回転の中には、⑤の加速するための10回転も含むものとします。





スタートは滑車にとまって乗っている状態とし、加速時や減速時を除いて、回る速さは一定とします。



 


 読んでいてわくわくしますね。条件がとても丁寧に設定されているので、小学生であっても試行錯誤して解けるのではないかと思います。


 


 問題文に対する質問や、解説に対する指摘など、活発に意見交換をしながら解き合いました。「これよく考えたな~ 面白いな~」という心からの言葉があちこちから溢れ、とても充実した時間を過ごすことができました。


 


数才クラス担当


 


※生徒が作成した問題の掲載にあたり、意図を変えない範囲で文章を添削しています。(その1、その2共通)

数才クラス、待ちに待った活動開始! その1

投稿日:2020.09.15

 今年度は、新型コロナの影響で5月末まで臨時休校となり、さらに学校が再開してからも、放課後活動の自粛によって数才クラスの開講がなかなかできずにいました。廊下ですれ違う度に、「いつ選抜テストをやるんですか?」と聞いてくる生徒もいて、活動を心待ちにしている様子が伺えました。選抜テストを実施できたのが6月末、ようやく活動開始となったのは7月のことでした。


 例年であれば、5月から算数オリンピックの難問をたっぷり練習し、6月に本番を迎えるわけですが、今年はいろいろと事情が変わってしまいました。会場での開催は中止、希望者による自宅受検となったのです。数才クラスとして参加できなかったことはとても残念でしたが、個人で申し込みをして自宅で参加した生徒が何人もいたようで、そのチャレンジ精神を誇らしく思いました。


 


 夏休み前の1学期最後の数才クラスで、生徒たちにある提案をしました。


「いつもよりだいぶ短い夏休みではあるけれども、休み明けまでに、ひとり1問、とっておきの問題を作ってこないか」と。


 実はこの取り組みは昨年から始めたもので、


  1.必ず解ける問題であること


  2.解説も作成すること


  3.皆が「解きたい!」と思える、


    魅力的な問題にすること


という条件のもと、算数・数学に関する問題を作成します。


 予想通り、いや予想以上に生徒たちは大喜びで、やる気満々。早速、鉛筆片手にあれやこれやと考えをめぐらし始めました。そして夏休みが明けて提出された問題は、生徒たちの知恵と、算数・数学への熱い思いが詰まった素晴らしい力作ばかりでした。ここで、そのごくごく一部を紹介します。


 


〔5年生が作成した問題〕


ある男の子がいました。その人は1歩に0.5秒かかり、歩幅は85cmです。家から○駅まで6.8kmあり、家から○駅まで歩かなければなりません。駅から次の駅まで345秒かかります。そして駅と駅の間は全て等間隔です。学校に近い△駅は〇駅から7つ目の駅で、△駅から学校までは7.5kmあります。


△駅から学校まで、時速30kmの車で移動する時、家から学校までは何分何秒かかりますか。


 


 一つ一つの条件に工夫がされており、きちんと解ける良問です


 


 


〔6年生が作成した問題〕


あなたは今、心理テストを受けている。相手はこう言った。


「ここに3枚のカードがある。この内の2枚は裏に「当たり!おめでとう!」と書いてある。あなたは今からこの内の1枚を選べ。」


あなたは1枚のカードを正直に選んだ。すると相手は、もう2枚の内の1枚を裏返し、当たりかハズレであることを公表してくれた。


このとき、あなたは選ぶカードを最後に残った1枚に変えるべきであろうか? 


ただし、相手は正直者で決して嘘はつかないとする。


最後に相手はこう言った。


「これで当たりが出たら、賞金1兆円を差し上げよう。宝くじよりすごいぞ。」


 


 問題に引き込まれていきますね。この問題には続き(応用問題)がありますが、紙面の関係上紹介できないのが残念です。


 


その2へ続く〉


数才クラス担当



 



数才クラス


5年生以上の生徒を対象に、週1回開講。特に算数・数学が大好きな生徒が在籍し、算数オリンピック大会へ向けたハイレベルな問題、思考力を鍛えるための問題などさまざまな領域で演習と講義を行う。

太陽と影

投稿日:2020.09.11


 3年生の理科で「太陽と影」という単元があります。影のでき方を学んだり、太陽と影の向きを観察したり、太陽の位置が変化することで影の向きがどのように変わっていくか、ということも調べます。


 生徒たちは、まずは影のでき方を学びます。理科でいう「影」とは、太陽光が物に遮られてできるもののこと。普段、自分の身体にいつも影が付いて回ることは当たり前、特に意識することはないかもしれませんが、改めて考えてみると、影のかたちや伸びる向きを見てみると、不思議に思うこともあります。


「影ができるのはどうしてですか?」


そう生徒に質問すると、「太陽が…」とか、「光が…」とか、「僕たちと同じかたちになる…」と、なんとか説明しようとしてくれます。ひとつひとつのキーワードは出てきますが、それを言葉で整然と説明するのはなかなか難しいことです。


 


 さて、写真で紹介しているのは、太陽と影の学習の中で、晴れた日に学校のテニスコートで「影踏み鬼」をしたときのもの。子どもたちに、「今回のポイントは、太陽の向きと影の伸びる向きですよ!」と言って、活動に入りました。みんなで「影つなぎ」や「影踏み鬼」をしながら楽しく観察をし、理科的な学習として『太陽の向きとは反対側に影ができる』ということを学びました。


 


学校の授業では、物事をよく観察し、理科的に考え表現することに力を入れて取り組んでいます。これは、高学年になっても、突き詰めていけばとても難しいことです。


1、2年生で学んだ生活科の授業の先にある「理科」を今年から学び始め、観察や実験が大好きでいろいろな発見をしてくれる子どもたちとの授業は、私にとっても大きな刺激となっています。子どもたちが身近な自然との関わりや命ある生き物への興味関心を高められるよう、少しずつ理科の芽を育てていきたいと思います。


 


3学年理科担当


「お客さんが喜んでくれてうれしい!」

投稿日:2020.09.08

 才教学園2年生の生活科の一大イベントといえば、「さいきょう商店街」です。


どのような行事かというと、廃品・廃材を利用した商品のお店を構え、お客さん(1年生や保護者のみなさん)を相手に、商品のやり取りをするというものです。


昨年度はお客さんとして参加していた2年生。今年はお店を運営する立場になることをみんな楽しみにしていた様子です。


 まず、どのようなお店を開きたいかを個々に考えることから始めて、グループ決め、商品づくり、値段の設定、1番のお客さんである1年生への宣伝など、お店を開く細かい準備を2ヶ月かけて行いました。そして、さいきょう商店街代表である校長先生との面談を経て、晴れて出店許可を得ることができました。


 ここまでさらりと述べてきましたが、実際の準備はとても大変です。子どもたち一人ひとりの「さいきょう商店街」のイメージがあったため、グループで活動するときには意見や思いをまとめるためにパワーを使いました。ただ、意見がぶつかり合うことは悪いことではなく、それぞれが譲ったり、中間案を採用したりと、話し合いの勉強にもなります。はじめは意見がぶつかったままになってしまったチームも、次第に折り合いのつけ方を学び、話し合いがスムーズになるなど、成長を見ることができました。


 


そしてやってきた9月2日の「さいきょう商店街」当日、始めは緊張する子が多かった様子でしたが、お客さんとのやり取りを通じて次第に緊張もほぐれ、次第に和気あいあいとした雰囲気になっていきました。


無事に全員商品を売り切ることができた後の振り返りでは、「1年生やお家の人が買い物を楽しんでくれてうれしかった。」「自分の商品を買ってもらえてうれしかった。」など、「お客さんが喜んでくれてうれしかった」という感想が多く見られました。


 お客さんが喜んでくれる、つまり人のために何かをすることができる。大きくとらえれば「世のため人のために尽くす高い志を持つ」という本校の教育目標が、このような場面でも子どもたちにしっかり根付いていることがわかり、子どもたちと関わる者として、私もうれしい限りです。


 


2年生 生活科担当

1学期の収穫~大切な気づき~

投稿日:2020.09.04


4年生の社会科は「くらしを守る」というテーマで1学期の学習を行いました。消防・警察、ごみ処理、上下水道管理、発電・地球温暖化・災害など、内容は多岐に渡ります。現実にある問題と深く関わっているものが多いので、ニュースや新聞で伝えられる事柄をできるだけ多く取り上げて、なるべく自分自身のこととして捉えられるように学習を進めてきました。


終業式を間近に控えたある日、「4か月間、みんな本当によく頑張ったな」との思いがこみ上げるなか、ある疑問が私の頭をよぎりました。


本来ならば、実際に自分の目で見て施設の仕組みを学び、そこで働く方々の苦労や思いを直接お聞きする社会科見学があるはずでした。しかし、例年のような見学ができなくなってしまった今年、生徒たちは働く方々のことにまで思いを巡らせることができたのだろうか…。


 


そこで、1学期最後の授業で、学習内容を振り返りながら、それぞれの仕事に携わる人々に対してどんな思いを抱いているのかを尋ねてみました。


 


「私たちのくらしを命がけで守ってくれる消防士や警察の人達がいて、ありがたいと思う。」


「学校で勉強をしてから、今までとは違って、節電を心がけたり水を出しっぱなしにしたりしないように気をつけている。」


「当たり前だと思っていたくらしは、それを守る人たちがいてくれるおかげだと分かった。たくさんのだれかのために働いてくれる人たちに、もっと感謝して生活したい。」


「くらしを守る仕事についてたくさん学習できた。他の仕事のことも、もっと知りたい。」


 


加えて、コロナ禍で医療に従事する方々、それに関係する多くの方々も、私達のために昼夜を問わず尽力して下さっていることを、よく理解しているようでした。


学習を通して働く方の苦労を汲み取り、日々のありがたさに気付き、感謝の気持ちを抱くに至ったことが、私にははっきりとわかりました。


 


翌日の1学期終業式。生徒たちは教室で、校長先生のお話(校内放送)に耳を傾けました。


「当たり前の生活は、実は当たり前ではない。誰かに支えられ、誰かの恵みを受けて、この生活があるということに気づき、感謝の気持ちを持てたということが今日までに少しでもあったなら、それがみなさんの1学期の実りです。」


 


社会科では、引き続き他の仕事についても学習しますが、どの仕事も私達の日々のくらしに欠かせないものばかり。いつかみなさんが大人になったとき、「世のため人のために働くことに喜びを見出せる人になっていてほしい」、そう願って止みません。


私も、子ども達と一緒に勉強できることに感謝の気持ちを忘れず、さらに充実した学びができるよう努めていきたいと思います。


                                    4年社会科担当


やはり、学びは「楽しさ」とともにありたい!

投稿日:2020.09.01

 5年生の理科、2学期最初の単元は「花から実へ」。花の中にはおしべとめしべがあり、おしべの花粉がめしべに付いて受粉、そして実がなる…ということを学びます。


 授業は、花を分解して『がく・花弁(花びら)・おしべ・めしべに分け、ルーペで観察』することから始まります。手順を説明し、各グループに3種類の花と、ハサミ、カッター、ピンセット、ルーペを配りました。誰も何も言いませんが、テンションの高まりが教室内に伝わってきます。


 生徒たちは眉間にしわを寄せ、ハサミを入れたりもくもくと手でちぎったりしながら、花を丁寧に分解し、机の上にピンセットで並べていきます。分解された花は黒い机上で更に映え、さながら標本のようです。


 


 制服が汚れる原因となった、ヘチマのおしべから飛んだ花粉。「なんだか気持ち悪い…」と多くの生徒に評された、べっとり花粉まみれのムクゲの花芯(おしべとめしべが一体)。これらは、すぐあとの「受粉」の学びに活きてきます。


他にも、「先生、アサガオの花びらのちぎり方が分かりません…」と私を呼ぶ声。ラッパのような花弁は、どこかに切れ込みを入れないと分解できません。おや、この経験は「合弁花と離弁花の分類(中学校課程)」に活かすことができそうです。


「よし、コノ作業はコノ単元で役立つな…。」


「よしよし、アノ作業はアノ単元で役立つな…。」


私は、生徒たちが今後の学びに結びつく何気ない作業を一生懸命行っているのをほくほくした思いで眺めながら、自分の手立てに酔っていました…。


 


やがて、生徒たちが『花を分解しルーペで覗いてみる』というミッションを終え、やや手持ち無沙汰となった頃、一人の生徒が声を上げました。


「これを更に分解していいですか?」


 


私が「いいですよ」と言うと、「待ってました!」


…と聞こえた訳ではないのですが、そのような雰囲気で、生徒達は引き続き花を切り刻み始めました。理科室のテンションは、2段階ほどアップしたようです。


「うわぁ、ムクゲのつぼみから血みたいな真っ赤な汁が垂れてきた!」


「ほら、ヘチマのおしべってカリフラワーそっくり!食べられるんじゃない?」


「ねえ、アサガオの花びらに絵が描けるよ!」と、ピンセットの先で傷をつけて、棒人間を描く生徒も現れました。みんな、思い思いに楽しんでいます。


 先ほどまでの「美しい花の標本」はどこへやら、花や茎をまるで“薬味”のようにみじん切りにするような作業がどんな学びに関連づくのか、私にはもはや思いつきようもありません。原形をとどめなくなった花を見ながら、私は、みじん切りと学びを関連付けるのを止めました。やや狼狽しながら生徒達を眺める私をよそに、生徒たちの顔は至極イキイキしています。


しかし私は、生徒が今後の授業でおしべやめしべ、受粉といったなどに触れたとき、「花を刻んだあの時間は楽しかったなぁ」と印象に残る授業であることも大事なことだ、と、いそいそ後片付けに精を出しました。


生徒たちの楽しい顔こそが学びの原点! そんな思いで、今日も私は教壇に立っています。


 


5年生理科担当

コロナ禍にちょっといい話~5年2組のやさしさ~

投稿日:2020.08.28


5年2組の生徒たちは、表現力がとても豊かです。生徒が毎日テーマを決めて書く「生活の記録※」は、行が足りなくなるほどたくさんのことを書いてくれるので、これを読むことは私の大きな楽しみの一つです。


そんな5年2組であった「ちょっといい話」をいくつか……


 


~その1~


放課後、教室の消毒作業をしていて、ある生徒の机上に紙片があるのに気づきました。そこには、「先生、いつも掃除をありがとうございます。」と、私に対するお礼のメッセージ。日々、彼女から寄せられるそうした一言に、私はとても元気づけられます。


 


~その2~


いつもより早い時間に私が教室の整頓をしていると、ある生徒が部活動から戻ってきました。机の上に乗せた椅子を一緒に降ろしてもらおうと「少し手伝ってもらえるかな?」と頼む私に、彼は「はい!」と気持ちのよい返事をしてくれました。


更に、彼は私が次にすることを察し、自発的に机と椅子をきれいに並べてくれたのです。小さなことですが、その細かい気づきに、最後までやりきる才教生らしさが垣間見えたような気がしました。


 


~その3~


音楽で練習した手拍子アンサンブルの発表に、担任の私を招待してくれました。これは単なる手拍子に非ず。子どもたちの真剣なまなざしから、一生懸命さがひしひしと伝わってきました。


 


~その4~


体育で大縄跳びの学年内クラス対抗戦がありました。生徒の「作戦会議をさせて下さい。」という申し出に応え、ホームルームで作戦会議を開きました。跳ぶのが苦手な子をどうフォローするか、順番や綱を回すなどの人員配置など、たくさんの意見を出し合いました。…が、対抗戦の結果は最下位。記録も他のクラスと大差がついたものの、子どもたちの取り組み方を称えたいと思いました。


 


いつも元気よく笑顔があふれる5年2組。その反面、少しのんびりで課題も見え隠れしていますが、Ⅱ期生としての自覚が芽生えてきています。


臨時休業のためにまだ実質2か月ほどの学校生活。新しい日課にも慣れ、授業や生徒会活動を通し、一歩一歩着実に成長していることを実感します。


担任が目にしたできごとですが、生徒たちの素直さと優しさがみなさんにも伝わったでしょうか。この生徒たちの成長を一番近くで見守り、ともに過ごしていきたいと思います。


 


5年2組担任


※生活の記録…予定などを書き込む連絡帳


手拍子で奏でる♪クラッピングファンタジー

声を一切出さず、呼吸と目線を合わせる

大縄跳び対抗戦