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才教ダイアリー2021

「本物」に触れる機会

投稿日:2021.12.20

 子どもたちの成長を促すために必要な要素とは何なのでしょうか?


 様々な要素があげられると思いますが、やはり何といっても「経験(キャリア)」が必要不可欠だと、私は考えています。


 そして、その経験値を深めるためには「本物」に触れることが最良である、とも。



 この2学期、5年生は、「本物」に触れる機会に多く恵まれました。



 12月9日、「才教STEAMかけっこ教室」と題し、トップアスリートの走り方から自分に合った走り方を探究する授業がありました。講師は、東京オリンピック4×100mリレーのアンカーを務めた小池祐貴選手です!


 子どもたちは、小池選手の走りに一瞬で目も心も奪われました。小池選手から直接指導を受けた子どもたちのまなざしも、表情も、取り組み方も、普段以上に真剣そのもの。肌で感じた「本物」の凄さが子どもたちの意欲を高め、濃密な時間を過ごすことができました。



 かけっこ教室から1週間後には、トヨタ自動車の方々をお招きして「トヨタ未来スクール」を開講。"世界のトヨタ"が行っている取り組みを知り、技術と環境の関係性をSDGsの観点から大いに学ぶことができました。


 世界に名を馳せる大企業が提供している「本物」の工学・科学技術の一端に触れながら、子どもたちは楽しく熱心に授業に臨んでいました。



 また、11月に実施した宿泊研修では、訪れた先々でプロフェッショナルの流儀を目の当たりにしました。人々のあたたかいおもてなし、伝統的な産業や歴史に感銘を受けました。



 数多くの「本物」に触れてきた5年生。豊富な経験を糧に、この2学期の成長には目を見張るものがありました。


 成長を促すための「経験」。これを数字に置き換えて測ることは難しいのですが、この経験値は、「本物」であればあるほど、また本物に触れれば触れるほど、より高くなる―


 そう強く感じさせられた数カ月でした。


 今後もより良い成長のため、可能な限り「本物」に触れる機会を多く設けていきたいと考えています。



5学年主任・5年1組担任




※撮影時の短時間に限り、マスクを外しました。

小池選手を囲んで記念撮影(12/9かけっこ教室)

例年はグループごとのボードゲームだった「カーアンドエコゲーム」に今年はタブレットで挑戦(12/16トヨタ未来スクール)

光前寺・三重塔の前で(11/25・26宿泊研修)

充実の旅(後編)

投稿日:2021.12.14


(前編からの続き)



宮城県・石巻


 窓越しに見た石巻の街並みは10年前の被害を想像できないほど復興しつつありましたが、生徒たちは、「自然災害で亡くなる人を減らすことが必要(=減災)だと思った」「被災した人たちの気持ちを、もっとしっかり考えたい」「(河口から約4kmという)距離を体感して、改めて津波の怖さを知った」と振り返っていました。



栃木県・日光


日光東照宮


 今回の修学旅行の最後に訪れた日光東照宮では、「見ざる聞かざる言わざる」の三猿が代表的な新厩舎、陽明門、見る角度によって表情が違って見える眠り猫など、徳川家の粋を凝らした華麗な建築物と彫刻を堪能しました。




 コロナ禍で様々なことを我慢してきた中で、仲間たちと過ごし、体験し、感じたことはかけがえのない経験になったと思います。旅行を振り返った作文には、学年目標の「感謝」を伝える記述も多く見られましたが、大事なのはここからです。今回の経験を学校や普段の生活の中で生かし、小学校課程のまとめに向かっていくことで初めて、3日間の学びの成果を出せたと言えるでしょう。



 中学校課程への進学を目前に控えた6年生が、周囲に成長した姿を見せられるよう、関わる教員全員で生徒たちを支えたいと思います。



6年2組担任

最終日の朝、宿泊先をバックに記念写真(撮影の時間だけマスクを外しました)

ホテルでの昼食は落ち着いた雰囲気で

充実の旅(前編)

投稿日:2021.12.14

6年2組担任



 6年生の最大行事、研修旅行。当初は6月の予定でしたが、2度の延期を経て11月下旬に東北の地へ・・・。県内外の往来に難しさがつきまとう昨今、旅行会社や関係先のバックアップをいただき、コロナ対策の基本的なルールも徹底したうえで、体験と学びが凝縮された修学旅行を実現させることができました。



福島県・会津


日新館


 絵皿体験では一人ひとりが好きな言葉や絵を皿に描き入れ、弓道では矢を真っすぐ飛ばすことに苦戦している姿がありました。静寂の中での坐禅は、慣れない体にはきついものがありましたが、心がスーッと穏やかになっていく不思議な感覚にとらわれ、150年前に藩士の子弟らが学んだ場所での貴重な修行体験をさせていただきました。



宮城県・石巻


石巻南浜津波復興祈念公園


 年間の学習テーマを「防災」としている6年生にとって、石巻訪問はメインとなる活動でした。ボランティアガイドの方がバスに同乗し被災地を案内してくださいました。復興祈念公園がある地域には約4,500人が暮らしていたこと。家屋などは全て流されてしまったこと。「みやぎ東日本大震災津波伝承館」の屋根は、津波が停滞したときの高さと同じに作られていること。当該の地に立つと、津波の恐ろしさがまざまざと感じられました。


 そして、社会科を教える身としてぜひ訪れたかった大川小学校。あの日、あの時、あの場所にいたら、教員として、大人として、人としてどんな行動がとれたのか。私も、生徒たちと一緒に考えたいと思っていました。当時のまま残されている校舎に津波到達の時間で止まった時計、波の力でねじり倒された渡り廊下。私の胸は思った以上にざわつきました。避難場所の選択肢になっていた裏山も見ましたが、大地震後の地滑りの危険性を考えると、私は果たしてここを選択できただろうかと考えてしまいます。答えを出すのは、本当に難しいことです。しかし、被災地を見た者の責任として、私たちには大川小学校で起きたことを後世に伝える義務がある。これが、今回の研修旅行で学んだことの、結論のひとつなのではないかと感じています。



(後編へ続く)

弓道体験(日新館)

津波被災地を見下ろす高台から(石巻市)

食べものを大切に!食べものに感謝!

投稿日:2021.12.10

「ゴミとして捨てられてしまうものを、何かステキなものに変身させられないだろうか?」



 3年生は、これをテーマに「総合的な学習の時間」を使い、みんなで様々なことを考え活動してきました。例えば、不要になった紙を集めてメモ帳を作ったり、色画用紙の切れ端でコースターを作ったり・・・。


 外部から先生をお迎えして、ペットボトル製の竹とんぼ「ペットコプター」を作って飛ばす活動(11月)もその一つでした。



 この12月には松本市のご協力をいただき、食品ロスについての環境教育授業を行いました。市役所環境地域エネルギー課の加藤さんと山内さんからは、普段あまり考えることなく食べている食品についてお話を伺いました。


 まず、「1杯のカレーライスを作るために必要なもの」を考えました。肉、ジャガイモなどの材料はもちろん、それらを運んだり、お店で売ったり、加工してくれたりする多くの人のおかげで、私たちはカレーを食べることができていると改めて気づかされました。


 その後、話は核心に迫ります。日本で消費される食料の半分以上は外国に依存していること、その一方で1日1万6千トン、年間600万トンもの食料が廃棄されている現状を知りました。あまりに大きい数字に量の程度がわからなかった子どもたちですが、「(1日の廃棄量は)25メートルプールで50杯分」と聞き、びっくりしていました。


 中でもショックが大きかったのは、8億人以上が満足に食事をとることができず、また5歳まで生きられない子どもたちが年間310万人もいるという話でした。10秒に1人が亡くなっていると言われ、それまで元気だった子どもたちのトーンは急降下。


 自分たちでできることはないか。無駄をなくすための方法はないか。子どもたちには難しい課題かもしれません。それでも、「食事するときはいつも、感謝して残さず食べること」ならできそうだとの結論に至り、大切なことを教えていただいた1時間でした。



 授業が行われた日は、みんなで内容を振り返ってから給食を食べ始めました。配膳された給食にもたくさんの人が関わっていること、様々な事情で給食を食べられない子どもたちの存在があることを意識しました。すると、いつも苦手なものを残しがちな子も、ごはんとお味噌汁は完食!


 今は飽食の時代、すぐ替えが利く時代ではありますが、私たちの食や生活にまつわることのほとんどが、誰かの手によって成り立っています。『当たり前』だと思っていることは、実はそうではないのです。こうしたことへの気づき、感謝する気持ちを思い起こさせる機会を作り与えていくことが、私たち教師や学校、ひいては大人の役割であるとの思いを新たにした日でした。



3年1組担任

環境と食品ロスの話を聞き、大切なことはメモを取る3年生

「食べられること」に感謝

「あんなにあんなに」

投稿日:2021.12.03

11月24日から12月10日まで、学校は「読書週間」。


この期間は、蔵書の3冊貸し出しやブックカバーのプレゼントを行っています。


「読書週間だから、本は3冊借りられますよ。」


私がそう伝えると、本が大好きな子どもたちは、


「やったーーー!!!」


教室いっぱいに喜びの声が響きました。


ブックカバーは、校内コンクールで募集したイラストの中から最優秀賞に選ばれた作品を元に作られ、図書室を訪れた子にプレゼントされています。


私が担任をしているクラスでも、多くの子が素敵な絵を描き、応募していました。



あるとき、誰よりも時間をかけて借りる本を選んでいた子がいました。


悩んだ挙句、3冊全てが大きなイラストの入った文字の少ない絵本。


実はその子には、小さな弟とこの夏に生まれたばかりの妹がいます。


きっと、下の子たちに読ませてあげるために借りていくのだろうと、微笑ましく感じました。



私はふと、1学期の授業で、子どもたちにお気に入りの本を紹介してもらったときのことを思い出しました。


図書室で人一倍悩んでいたその子が紹介したのは、やはり絵本でした。


ヨシタケシンスケさんの「あんなにあんなに」(ポプラ社)というものです。



あんなに欲しがっていたおもちゃが、もうボロボロ。


あんなに「お腹すいた」って言ってたのに、もう食べない。


あんなに騒がしかったのに、もう寝てる。


あんなに短く切った髪が、もうモサモサ。



あんなに小さかったのに・・・


あんなに泣き虫だったのに・・・


あんなにブカブカだったのに・・・



子育てを経験した誰もが共感できることが、可愛らしいイラストとともに描かれています。



目の前にいる子どもたちは、たくさんの愛情の中でここまで育ってきたのだということ。


そして、これから先、できることがもっともっと増えて、大好きなものや大切な人に出会って、少しずつ親の手を離れていくのだということ。


それでも、親子はずっと親子なのだということ。


本を読み終えた後にこんなことを考えて、目頭が熱くなったのを覚えています。



2年生は、2学期の終わりから3学期にかけて、自分の生い立ちについての学習を行います。


小さいきょうだいがいる子にとっては、成長過程の実感が湧きやすいかもしれません。


今後の学習を通して、しっかりと学んでいきたいと思います。



自分がどんなふうに成長してきたか。


どれほどの愛情を受け取ってきたか。


育ててくれた家族や周りの人たちに感謝の気持ちを持つのと同時に、同じように愛されて育った友だちのことを大切にできるように。



2年1組担任

校舎1階に掲示された、ブックカバーコンクールの応募作品

学びがたくさん、県庁見学

投稿日:2021.12.01

 4年生は11月15日に長野県庁を見学し、県庁の仕事や県議会の仕組み、知事の仕事内容について学んできました。


 議会の役割や流れを説明いただく中で、議会では知事を中心に自然環境や教育、観光に対する活動や予算の方針などについて議論がなされていること、議場の設備についても詳しく知ることができました。中でも、「県知事が議題を提出する」ということが子ども達には意外だったようです。


 県災害対策本部室は普段は使われていないそうですが、災害が起こったときにすぐ対応できる工夫がありました。テレビ会議ができるような設備があり、セクションごとに決められた座席や着用するビブスで担当は一目瞭然。災害が起こりそうな場所に設置されたライブカメラの映像も見せていただき、県民の安心と安全を守る仕組みを学習しました。


 当日、阿部知事は執務中で知事室に入ることはできませんでしたが、朝から晩まで長時間に及ぶ知事職の大変さや大切さ、加えて、県庁や議会でも本当に多くの人が長野県のため、私達のために働いて下さっていることに、感謝の思いを強くした4年生です。



 午後は善光寺の散策です。厳かな独特の雰囲気の中、香炉の煙を浴び、本堂近くまで行ってお参りをしました。山門にかかる「善光寺」の額、六地蔵や仁王門・仁王像も見学しました。


 最後は授与品所へ。「家族みんなの分を買うんだ。」「これ、喜ぶかなあ。」と、予算の中で工夫して楽しそうにお土産を選んでいました。



 今回の見学では班行動を意識させたのですが、その理由は来年度の宿泊研修を見越した活動を目指したからです。班長は、集合のたびにみんなの先頭に立ち、素早く人員報告をしてくれました。みんなも班長に大いに協力し、静かに素早く並んでいました。行く先々では真剣な眼差しで話を聞き、一生懸命メモを取ったり、友だちと協力したり・・・。


 学校から離れ、たくさんのことを見て、聞いて、感じた、充実の1日を過ごした子どもたち。先日は『長野県フェスティバル』もありましたが、見学で得たことをしっかり振り返り、さらに学習を深めていけるようにしたいと思います。



4年2組担任

県議会の議場を見学

防災・災害対策の説明:災害対策本部室

善光寺でクラスごとの記念写真

5年生の歩み ~定期テストを通じた貪欲な学び~

投稿日:2021.11.19

 生徒会活動、部活動といった新たな活動、これまでより長い授業時間、濃グレーで三つ揃えの制服。今年の5年生の担任を務めて7か月になった私が見ている、生徒たちの最近の様子をお伝えしようと思います。



 進級で特に大きく変わったことは、「定期テスト」が実施されるようになったことです。4年生までは教科別に単元テストが中心でしたが、5年生からは、中学生同様、学期ごとの中間・期末テストが実施されます。テスト範囲は広く、授業で学習したことを自ら振り返り、身につけることが求められます。5か月前の1学期期末テストでは、戸惑う気持ちが影響したのか、思うような結果を出せなかった生徒が多かったように感じられました。


 夏休みを機に、2学期中間テストに向けた生徒たちの取り組みは大きく変わりました。放課後学習会「スイッチ」には、毎回多くの生徒が自主参加するようになったのはとても嬉しいことでした。友だちから誘われるなどして「ぼくも今日はスイッチに行こうかな・・・」という声が多く聞かれるようになり、テストを行うたびに自主的に学習する生徒が増えてきたのです。


 テスト範囲が発表される(テストの2週間前)と、生徒はまず個々に目標点を定め、それを達成すべく学習計画をたてます。毎日の自主学習は定期テストモードに切り替わります。クラスでは毎日の学習記録をつけるようにしていて、「今回は学習時間2,000分が目標!」「全科90点以上を目指す!」「学年順位を目標に頑張る!」など、それぞれのモチベーションを高く持って取り組む姿が自然と見られるようになりました。スイッチも「テスト対策」と銘打ち、教員も生徒たちのやる気に応えようと努めています。


 この結果、2学期中間テストでは多くの生徒が自身の目標を達成し、クラス平均点は1学期のそれから大きく上昇しました。


 結果が出ると意欲も増すもの。


「今回は全教科95点以上を目指す!」


「苦手教科をなくして、全教科満足のいく結果を出す。」


 2学期期末テストを見据えた生徒の目標は、より高く、より具体的になり、クラス単位で更に向上心を持って頑張りました。



 才教生の良さは、学習に貪欲なことです。特に、今年度私が受け持っている5年生は全体の学習意欲が高く、日々感心させられています。みんなはいつも、ポジティブです。5年生からのこういった新しい取り組みは、学年が上がるにつれ、さらに活きていくでしょう。これからも、生徒たちの成長を見守っていきたいと思います。



5年2組担任

休み時間に友達と教え合い、ともに学び合う

iPadは、授業だけでなくテスト勉強でも大活躍

掃除のあとに輝く「流し」

投稿日:2021.11.17

 2年生の掃除分担場所のひとつに、「3階北廊下の流し」があります。いろいろな物を洗う流しは、汚れやすいところです。しかし、毎日子どもたちが掃除したあとは、ピカピカに輝いています。



 ある日、とても汚れていたときがありました。スポンジでこすったり、ぞうきんで拭いたりと一生けん命掃除したのですが、なかなかきれいになりません。掃除の終了時刻も近づいたので、私は「今日はここまでにして、また明日やろう。」と声を掛けました。


 すると、「最後までやります。」


 力強い返答と時間いっぱいまで掃除を続ける姿に、責任を持ってやりきろうとしていることが感じられました。


 最終的には、「鏡みたいになりました! とてもきれいになって気持ちがいいです。」と、達成感と満足感でいっぱいの表情を見せてくれました。



 別のある日。その日は、都合により掃除の開始が遅くなっていました。しかし、流しの担当の子どもたちは、このときも最後まで一生懸命に取り組みました。


 掃除後の反省会では、「始めるのが遅かったから、『まあ、だいたいにできればいいかな。』と初めは思いました。でも途中で『やっぱり頑張ろう。』と思い直して掃除をして、きれいになったので良かったです。」と話した子がいました。


 自分の気持ちを切り換えて、頑張る方へと気持ちを向けていける子ども達です。



 さらに別の日のこと。流しの水滴を隅々まできれいに拭き取った後に、他の場所を掃除していた子がバケツの水を捨てに来ました。


 「水を捨ててもいい?」と聞かれ、流し掃除の子は少し戸惑いの表情を見せましたが、「うん、いいよ。」と応えました。水捨てに来た子は、排水口の近くから静かに水を流しました。掃除が済んだ後で、なるべく水が飛ばないようにと、相手の気持ちを考えた行動に、私の心は温かくなりました。


 しかし、そうはいってもまた濡れてしまった流し。掃除を終えたばかりで少し残念そうな様子でしたが、すぐに黙々と流しを拭き直していました。流しとはどういう場所かを考え、文句も言わずに最後までやりきる姿に感心しました。


 流し掃除を通して、2年生の良い姿がたくさん見られています。



2学年担当

STEAM×7年のさいきょう祭 後編

投稿日:2021.11.17

(前編からの続き)



【朗読】


 朗読者はオーディションで選び、自分たちで考えた詩が表現力をより高めました。


【身体表現】


 係を中心に、様々な感情を体で表現するために動きを考え、作り、表情や細かい動きまで揃えようと、本番直前まで全員で確認し追求しました。


【映像】


 初めて動画を作成した頃は、既存のイラストを貼り付けて動かすことが精一杯でした。しかし、映像を作っては改善する作業を繰り返すうちに、手書きの方がより自然で想いが伝わることに気づきました。それからは、アプリを使って絵を描く生徒、様々な効果をつけながら動画にする生徒と、得意なことを生かしながら分業で進めていきました。さらに、プロジェクションマッピングという新たな分野にチャレンジし、パソコンを使いこなし、映像を映し出すことに力を尽くす生徒も......。


【音楽】


 恥ずかしさを超え、声を合わせて感情を表現する感動を体験するとともに、音楽と朗読・身体表現・映像のコラボレーションにより、より深い感情表現を味わいました。


【写真】


 写真の歴史や技術を教わり、自ら撮影した無言館の写真をステージ衣装の黒Tシャツの背面にプリント、会場ロビーにはパネルを掲示しました。ひとつとして同じものはなく、個性豊かに表現されています。



*****


 「新たなものを作り出す」ときの生徒たちの力。そこには、私たち大人には計り知れない可能性が秘められていました。その力を存分に発揮しようと精一杯取り組んだことは、21世紀型スキルを育む学びに確かに繋がるものでした。


 生徒自身が気づき、意見し、話し合い、改善し作り上げたステージ。31人の想いは、演目名「平和をつなぐ〜未来を描いた若者たちの想い〜」にしっかりと宿り、彼らの未来に平和をつないでくれるだろうと確信しています。



7学年担当

STEAM×7年のさいきょう祭 前編

投稿日:2021.11.17

7学年担当



 7学年のさいきょう祭ステージは、STEAMの"A"『Art・芸術性、創造性、表現力、教養を高める』の部分を中心に据え、一年間を通じた総合学習のテーマ「歴史と平和」の学びを発表する場となりました。


 さいきょう祭は、「言葉・身体・音楽」の3つの表現を意識し、毎年学びを積み上げていくよう考慮して取り組まれます。7学年では特に身体表現の充実に力を入れていますが、今年はSTEAM教育がスタートし、残る2つの言葉・音楽の表現に加え、テクノロジー活用からの学び、地域社会・企業との協働など様々な要素の横断的学習の場となりました。


*****



 6月、無言館から誕生した歌、「組曲『無言館』」を聴き、戦争・平和について学び始めました。この頃の生徒たちは平和という実感の湧かないテーマをどう受け止めていいのか戸惑った様子でしたが、日増しに平和に対する想いは、強く確かなものになっていきました。


 10月には戦没画学生慰霊美術館『無言館』(上田市)、松代大本営『象山地下壕』(長野市)を訪れました。現代に暮らす私たちには想像もできない戦争の恐ろしさ、惨さ、悲しみ、苦しみなどを、机上の知識だけでなく実際に感じることで学びが深まりました。現地に赴き、肌で感じたことが、生徒の創造力、表現力を開花させたのです。



 さいきょう祭に向け、生徒たちは個々の能力を生かしながら互いにスキルを高め合いました。朗読係が、「自分たちで詩を作る」と決めて文章をまとめ上げた頃から、身体表現や映像の係も具体的なイメージが沸き、それぞれの表現を作り出していきました。



(後編へ続く)