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才教ダイアリー2021

「自分・生活力・自立」②

投稿日:2021.10.13

 学年が上がり、中学校課程では「衣服の補修」を学びます。小学校の復習(ボタン付け)に加え、スナップ付け、裾上げやほつれた裾を補修するためのまつり縫い等を実習で扱いました。


 裁縫実習や消費生活の学習を行った9年生のレポートにも、様々な感想が綴られていました。



◆お父さんの洋服のボタンが取れたので、私がボタンを付けました。そうしたらすごく喜んでくれて、自分にできることで家族の喜ぶ顔を見ることができ、私自身もとてもうれしかったです。


◆制服のボタンやスカートのホックが取れそうになっていたのを、自分で直しました。授業で縫ったときよりも上達し、上手に仕上げられてよかったです。


◆今までは、ほしいと思った物をすぐ購入していたけれど、授業を機に必要なもの(Needs)と、ほしいもの(Wants)に分けて購入順位を考え、それが本当に必要なものかをしっかり検討してから買い物をするようになりました。おかげで、無駄遣いがなくなりました。



 上記のように「衣服を自分ができる技術で手直しした」という生徒は、このほかにも数人いました。家庭科で学んだことをすぐに取り入れて、日常生活で実践してくれていることが分かり、とても嬉しいです。


 『生活力』とは、知識を得ると共に生活の自立ができるようにし、創造的に生活を営んでいく力を育てていくことだと思います。


 生徒のやる気に充ち溢れた姿は、とても素晴らしいです。


 生徒が自らの生活をしっかり見つめながら、生活力を高め自立していけるように授業を進めていきたいと思います。



家庭科担当




「自分・生活力・自立」①


「自分・生活力・自立」②

刺繍入りオリジナルタグ(8年・ミニトートバッグ)

「自分・生活力・自立」①

投稿日:2021.10.13

家庭科担当



 家庭科の学習は、小学校5年生からスタートします。「自分・生活力・自立」を大切にして学習をしています。毎日の生活について改めて考え、自分自身を見つめ直し、よりよい生活を考えながら自分らしく生きていく力を養う「はじめの一歩」です。



 1学期、5年生は、家族の一員として自分にできる家庭の仕事を考え実践したり、もの選び方・買い方、食品消費の期限、3R(5R)、整理整頓、掃除の仕方などの学習をしました。


 現在は、名前入りキーホルダーを手縫いで製作しています。本返し縫い・半返し縫い等の練習をし、バックステッチでの名前刺繍、ボタン付けなどを施し仕上げに向かっています。


 基礎縫いの練習時は苦戦していましたが、キーホルダーの製作過程に入ると、みんな上達しスムーズに進められるようになってきました。生徒の上達のスピードと成長には、私もとても驚いています。


 すでに作品を提出した生徒のレポートには、次のような記述がありました。



◆名前の刺繍は、カタカナの微妙な曲がり加減をきれいに表せました。苦手だった玉結び・玉どめも克服できました。チェーンを付けるのが非常に難しそうに見えましたが、先生の説明をしっかり聞いてきれいに付けられました。私はどちらかというと手先が不器用で、針に糸を通す時は糸通し器の助けを借りていましたが、何度もやるうちに手で通せるようになりました。手縫いでこんなに素晴らしいものができるということが分かりました。


◆かがり縫いで、縫い目が等間隔でそろうように工夫しました。糸の間隔や玉どめ等をやっていて思ったことは、気をつけるポイントが意外と多かったことです。もっと上達できるようにがんばりたい。


◆自分で納得いくキーホルダーを作ることができてよかった。


◆とてもやりがいがあり、難しいところも楽しんで製作できた。



「自分・生活力・自立」①


「自分・生活力・自立」②

名前入りキーホルダー(5年)

エプロンのポケットへの刺繍やアップリケ(6年)

協同・協働で深まる考え

投稿日:2021.10.08

 4年生の理科に「とじこめた空気と水」という単元があります。このほど、空気や水の性質を学ぼうと、筒状の容器(ピストン)に空気や水を閉じ込めて押すという実験を行いました。


 空気で満たされたピストンは押し込むことができましたが、筒が水で満たされている場合はピストンを押し込んでも少しも体積が変化しません。


「閉じ込めた空気と水を押すと、それぞれどうなるか。また、それはなぜだろう?」


 このように質問を投げかけると、生徒たちはしばらく考え込んでいました。


 実験と同じようなことは、どこかでやってみたことはあるのでしょうが、質問の答えになるように説明する言葉がうまく見つからないようです。



 当たり前のように身近に起きることについて「根拠を持って説明を」と言われたら、それに応えることは中々難しいこともありますね。でも、この説明する力、というのはとても重要なスキルです。


 生徒たちは、日常の中でなにか空気の詰まったものが変形するという現象を、生徒たちは何度となく経験しているはずです。確かに、柔らかいゴムボールなどは手で握るとその通りに変形し、中の空気まで押しつぶされていると認識できますし、ボール内の空気が自分の手を押し戻してくるような手応えを感じることもできます。



 さて、生徒たちは、空気と水、両者の性質に気づけたでしょうか。


 私が小さなヒントを出してみると、生徒たちから次のような発言が出てきました。


―空気も水も形がない


―空気は目に見えないけれど、水は目に見える


―空気は気体で、水は液体


 難しい言葉ではなくても、今までの経験や理科の知識をうまくつなげて表現(説明)でき、空気と水の共通点・相違点を探し出せました。


 たくさんの発言を手掛かりに、意見は次第にまとまっていき、しかも、「ボールの中は大体空気が入っているけど、水を入れたことはないなぁ」とか、「使う入れ物が同じだと比べられるね」など、条件を統一して比較しようというところまで意見が熟してきました。


「ペットボトルで比べられるんじゃない?」


「ペットボトルの中身が全部空気だとベコベコへこむけど、水でいっぱいにしたら全然へこまなかったときがあったよ。」


「じゃあ今度実際にやってみようよ。」



 私は、生徒の経験や知識から意見がまとまり、これからにつながるような考えまで飛び出したことに嬉しくなりました。


 自分一人では解くことが難しい問題でも、仲間との学習や意見の積み重ねから、科学的なものの見方や実験の方法にまで考えを深めることができた4年生。これからもともに根気強く考え、学んでいきましょう。



4学年理科担当

まずは空を閉じ込めたピストンを押し込んでみました

気づいたことを書き込みます

透明で見づらいですが、こちらは水入りのピストン

自分の目で確かめるということ②

投稿日:2021.10.05

そして、「子どもたちの疑問の解消」はどうなったかというと・・・


開館時間中に来られない人が閉館中でも本を返却できるように、「ブックポスト」が設置されていること。


目の不自由な人も読める、点字の本や音声図書があること。


松本市内に生まれた人であれば、生まれたときから図書カードを作れるということ。


本は1人10冊まで借りられること。


1日に1000人近くの人が図書館を利用していること。



こんなにたくさんのことが分かりました。


それに、見学後の子どもたちは、児童書コーナーの本棚は子どもが利用しやすいよう低いつくりであること、館内には点字ブロックがあることなどにも思い至りました。



「みんなが利用できる場所であれるように」


図書館は、この思いが目に見えてわかる場所でした。




松本市内にある11の図書館には、合わせて120万冊の図書があり、そのうち58万冊が中央図書館に所蔵されているそうです。


地域についての調べものをする人も多く、山岳文庫やお城文庫など、『歴史ある岳都・松本』ならではのコーナーも設置されていました。


最後に紙芝居の読み聞かせをしていただきました。



「今度、お父さんと一緒に図書館に行って、本や紙芝居を借りてみたいです。」


「これからは、図書館を正しく使いたいです。」


「中央図書館のことを、友だちに教えてあげたいです。」


「図書館のことを、もっと教えてほしいです。」



本や図書館への興味がますます広がった子もいるようです。



百聞は一見に如かず。


どんなに便利な世の中になっても、やはり、本物に触れ、自分の目で確かめるという経験は大切にしていきたいですね。


2年1組担任




自分の目で確かめるということ①


自分の目で確かめるということ②

山岳文庫とお城文庫

見学の最後、紙芝居の読み聞かせ

図書館銘板前での1枚

自分の目で確かめるということ①

投稿日:2021.10.05

2年1組担任



2年生では、2学期に公共施設についての学習を行います。


中でも、子どもたちの多くが利用している図書館について学習を進めてきました。



「公共施設とは、子どもからお年寄りまで、みんなのための場所である」


授業では生活科の先生から、このような説明を受けました。



「みんな」と一言で言っても、地域にはいろいろな人がいます。


赤ちゃん、お年寄り、体の不自由な人、仕事が忙しい人・・・



そんな「みんな」にとって使いやすい場所であるために、公共施設にはどんな工夫があるのでしょう。




「夜しか来られない人のために24時間やっているんじゃないかな?」


「体の不自由な人のために、本を届けてくれたりするのかな?」


「ほかの図書館にある本を借りるには、どうしたらいいのかな?」


「赤ちゃんって、本を借りられるのかな?」



学習を進める中で、さまざまな疑問が出てきました。


この疑問を解決するために、松本市中央図書館へ見学に行きました。




図書館の中の見学は、グループに分かれて行いました。


職員の方の説明を聞きながら、普段は入ることができない書庫や作業場まで見させていただきました。


大正時代から保管されている新聞や、電動書庫に感動する子どもたち。


大事だなと思うことは、しっかりメモも取っていました。




自分の目で確かめるということ①


自分の目で確かめるということ②

授業の板書

作業室(上)と電動書庫(下)

保管されている昔の新聞

「軌跡」

投稿日:2021.10.02

 9年生にとって最後のさいきょう祭が迫ってきています。毎年、9年生の演目は、今までに培った技術や表現力を詰め込んだ総合的な演目になります。今年度のさいきょう祭は、昨年と同様に規模を縮小しての開催ということで、9年生の出演は学年の演目のみ(通常は全校合唱や中学生合唱があります)です。舞台に立つ回数は少なくなりましたが、その分一点集中で、一人一人が精一杯演目練習に励んでいます。


 今までは教師主導で行うことが多かった練習ですが、今回は生徒主体で行っています。練習の段取りや内容、演目のタイトル決めなど、それら全てを自分達で行うことは思った以上に大変だと実感を抱きつつ、その一方で大きなやりがいも感じているようです。



 さて、ここにきて私が感心しているのは、9年生が月1回のペース(多い時には2回)で実施されるテストや模試にも、全力で取り組んでいることです。


 言わずもがな、9年生は受験生ですから、勉強を頑張るのは当たり前です。しかし、受験勉強とは別にさいきょう祭に関すること、さらには生徒会における活動でも先頭に立ち、後輩を率いていかなければいけません。端から見てもやることが多いと感じますが、一切の弱音を吐かずに、何に対しても真摯に全力で取り組む姿は、後輩達にはもちろん、私を含む我々大人にも非常に良い影響を与えてくれているのです。



 そんな素晴らしい姿を見せてくれている彼らですが、かつてはいろいろな場面でメリハリをつけられず叱られたり、人の気持ちに寄り添えず自分中心で物事を考えてしまったり、指示されないといつまでも動くことができなかったりと、学年全体で苦労した時期がありました。


 それでも、9年生は才教学園での様々な経験を通して少しずつ成長し、そうした時期をも自らの糧として今の素晴らしい姿を作り上げてきました。そんな彼らを見ていると、中学校課程3年に渡って担任をしている私にとっては、実に感慨深いものがあります。




 最後のさいきょう祭。



 自分達で考えた演目のタイトルは、「軌跡」。



 才教学園で過ごし成長した姿を堂々と披露できるよう、本番に向けて今日も努力を積み上げます。



9学年主任

リーダーが指示を出し、さいきょう祭の練習が進む

日々の学習も、変わらずしっかりこなしている

「勉強が大好き!ノートやiPadは、わたしの大切な学習道具!」②

投稿日:2021.09.28

計算大好き!


 みんな、計算名人を目指して頑張っています。


 1学期は、たし算カード、ひき算カードを使い、休み時間までノートを開いて学習していた子もいました。その子のノートは計算問題で埋め尽くされ、すごい勢いで1冊が終わるので、私も周りの子どもたちもビックリでした。ある時、その子が最後のページの最後の1問をやり終えると、みんなから拍手と歓声が挙がりました。頑張る友だちを称賛する、そんな微笑ましいできごとでした。


 1年生で恒例となっている「本読み計算」の新記録更新を目指したり、iPadでの計算練習に喜んで取り組んだりと、みんなは計算も大好きです。



観察大好き!


 生活科ではこれまでに、オタマジャクシやカブトムシの幼虫、そして自分のあさがおなどの観察をしてきました。あさがおの自家受粉を学ぶと、夏休みに鉢ごと持ち帰ったあさがおのめしべとおしべを細かく観察し、ワークシートに写真入りで記録してきた子がいました。絵日記に、好きな昆虫について、不思議に思ったことを研究して書き記してきた子も。


 先日、虫探しのために構内を散策したところ、ショウリョウバッタやキリギリス、コオロギなど、たくさんの虫が見つかりました。授業が終わってからも、「先生、ぼく、虫を観察して絵を描きたいです!」と、嬉々として自由帳を広げ、休み時間まで観察を続けた子がいたのです。



◆◆◆◆◆



 自分が知ったこと、分かったこと、学習したことをノートに記していくことこそが真の学習だと実感できる、そんな1年生の様子をとても頼もしく、嬉しく思います。



1年2組担任





「勉強が大好き!ノートやiPadは、わたしの大切な学習道具!」①


「勉強が大好き!ノートやiPadは、わたしの大切な学習道具!」②

iPadアプリを使って計算練習をしています

朝顔の観察日記

みんなで虫探しをしました

「勉強が大好き!ノートやiPadは、わたしの大切な学習道具!」①

投稿日:2021.09.28

1年2組担任



漢字大好き!


 2学期が始まってすぐのこと。「ぼく、早く漢字の勉強がしたい!」と話す子がいました。1年生の漢字学習が始まるのは2学期からですが、夏休みに自主的に勉強を始めていたようで、学校での学習が始まってからというもの、とても楽しそうに一生懸命取り組んでいます。漢字ノートには、実に綺麗な文字が並んでいきました。


 また、2学期になってからは一人ひとりのiPadにダウンロードした漢字のアプリをどんどん利用しています。画面上に指書きをすると、書き順や字形について、なかなか厳しいチェックが入ることも。みんなが夢中になって学習するので、効果的な学習方法の一つになっています。



ことわざ大好き!


 『先達に学ぶ発表会』では、あいうえお順、カルタのようにことわざの学習をしています。


「あんずるよりうむがやすし」


「いそがばまわれ」


「うまのみみにねんぶつ」・・・


 発表の後、私が黒板にイラストを描いて説明を加えると、「そういうことか!」と声が挙がることもしばしば。最後は各々、自分のノートにイラストを添えて書き取りをします。この『先達』のノートも大切な学習道具、宝物のひとつです。




「勉強が大好き!ノートやiPadは、わたしの大切な学習道具!」①


「勉強が大好き!ノートやiPadは、わたしの大切な学習道具!」②

iPadのアプリを使った漢字練習と日々の積み重ねがわかるノート

『先達に学ぶ発表会』ことわざを学習しています

国語の授業より④ ~中学校3年生・後編~

投稿日:2021.09.27

国語科担当・6学年担当



「故郷」の批評 その3


 この作品は『希望』とは何かということを問い掛けている。希望を持つことが難しくなった社会の中で、主人公は多くの絶望に直面しながらも、最後には希望についての答えを導き出し始める。


 この作品では、その過程においての情景や主人公の心情が細かく描かれている。そうすることで主人公の胸中の虚しさや時代に対する絶望、そして微かな希望も上手く表現されている。主に描かれているのは、私とルントウの過去と現在の関係性についてだ。大人になったルントウに対して、主人公は何を望んでいたのか。子どもの頃のような無邪気なルントウに会いたかったのだろうか。結果として主人公は、昔とは似ても似つかない『でくのぼう』のようなルントウと再会し、大きなショックを受ける。まるでルントウの変わりぶりを批判しているようにも読めた。確かにルントウは変わった。しかし、主人公も同じように変わってしまったのではないだろうか。辛い時代の中で変わった多くの人達と同じように。


 作中(とかつての現実の中国)で、辛い生活や貧困を強いられてきた人々は、疲れ切り、少なくとも昔よりも悪い感じに変わってしまったように見える。私は、そのような描写に絶望しながらも、どうしたら昔のままで居られたのだろうかと考えた。他人のものを奪わずに互いに助け合っていたら、もっと気持ちに余裕を持てていたら、正解は分からないけれど、何か他の道があったのかもしれない。そして、それは主人公も同じだったと思う。


 最後に主人公は、次の世代に主人公たちとは違う未来が来ることに希望を抱いた。この希望は叶いにくい。しかし、主人公は、希望は道のようなものだと言っている。『叶うように行動すべきこと』が筆者にとっての希望なのではないだろうか。


 この作品の主題である「希望とは何か」という問いは、現在の社会でも必要だと思う。ただでさえ暗いニュースが飛び交う日々に、近年には新型コロナウィルスが加わり、希望を失いかけている人も多い筈だ。しかし、『希望はあるものともないものとも言えない。それは地上の道のようなものである。歩く人が多ければ、それが道となるのだ。』筆者が言うように、ただ待つだけではなく、自ら希望を探し、見つけていくことも大切なのかもしれない。



*******



 いかがだったでしょうか。


 現代で生きる我々(大人)が読んでも、はっと胸を突かれるような文章を、魯迅の作品を読んだ若者が書いています。国と民衆の幸福を目指して戦い続けた魯迅のように希望を追い求め、そして魯迅の願ったような未来を過ごせる社会の中で若者が成長していけることを、今後も切に願っています。



『やまなし』『故郷』は、青空文庫などでも無料で手軽に読むことができます。


ぜひ読んでみて、子ども達の意見と自分の考えを較べてみてください。



①小学校6年生・前編


②小学校6年生・後編


③中学校3年生・前編


④中学校3年生・後編

国語の授業より③ ~中学校3年生・前編~

投稿日:2021.09.27

国語科担当・6学年担当



 小・中学校課程の最終学年である9年生(中学3年生)では、中国清朝~中華人民共和国の時代を革命の中で戦い続け、国と民衆を動かしてきた、魯迅(ろじん)作の中国文学、「故郷」の単元に取り組んでいます。これも、全ての出版社の教科書にずっと掲載されている作品です。「やまなし」とは別ベクトルで非常に難しい小説で、恐らくこれを読んで「おもしろい!」と感じられる人は、ほとんどいないのではないでしょうか。


 当時の時代背景や本文そのものの学習をじっくりと行った上で、この作品について『批評文』を書く活動を行いました。ただ批判すれば良いというわけではなく、今よく言われている『批判的思考(クリティカル・シンキング)』を意識しつつも、作品のことを十分に理解した上で、その価値や特性、現代社会との繋がりを語る活動です。さすが最高学年ともなると、9年間培ってきた文章力、思考力が如何なく発揮され、早い生徒は15分ほどで素晴らしい批評文を書き上げることができ、驚きました。長くなりますが、3名分をピックアップして、全文を掲載します。



「故郷」の批評 その1


 この作品の価値は、この作品を読んだ人々に行動を起こさせる、ということにある。当時の荒れ果てた中国を立て直すために、民衆を動かすほどの力を持った作品だと言える。


 この物語はとても情景描写が細かい。現実の「鉛色の空」や回想の「紺碧の空」との対比など、詳しく述べることで、読者自身の昔の情景をも思い出させ、理想とする世界との対比もしやすくしている。また、登場人物の行動等も細かい。特にヤンおばさんは、物を盗んでいった時の走り方などの様子も細かく描かれている。ヤンおばさんの行動は良くないように思われるが、それが当たり前の光景となっていた当時の読者層に、皮肉に滑稽にその姿を知らせている。


 魯迅は、これを小説として書くことで、民衆に客観的な視点を持ってもらい、自分達の生活を見直すことを薦めたと思われる。知識が無くても誰でも読めるように工夫して書いている。途中に出てくる「チャー(穴熊)」等の長い長い描写は、私には物語の重要な鍵とは思えないが、より身近な現実味を持たせたかったのではないだろうか。


 現在も、問題がそこらじゅうに転がっている。中国だけではなく日本、世界には、解決しなければならない紛争、格差、環境問題などがある。しかし、私たちは目を背けているように感じる。この世界を魯迅が見たら、どう思うか? 我々に現実を見て、自分たちで解決することを促すだろう。物語にもあるように、自分たちで道を作ることが必要であると思う。希望を持って、自分たちで変えていかなくてはならない。



「故郷」の批評 その2


 この作品の主な登場人物、「私」とルントウとヤンおばさんには、大きな壁が生まれていた。「私」が幼い頃は、故郷はとても美しく、晴々として未来に希望を持てる描写となっていた。しかし、大人になってからの描写では、悪化する社会の状況や、お金等への欲望にまみれて、広い視野が失われていっている。私は、主人公の行動も、ルントウやヤンおばさんとの関係に「壁」ができるきっかけとなったのではないかと感じた。「私」の行動は、ヤンおばさんを「コンパス」と心の中で呼び、わざと自分とヤンおばさんの間に距離を作ったり、「でくのぼう」のようになってしまったルントウを見て残念な反応をしたりしている。美しい過去にすがりついていたとも言える。「私」が「壁」を超える努力をしたり、もっと頻繁に故郷と関わりを持ったりするべきだったのではないだろうか。


 この作品のキーワードである「希望」は、手の届きにくいところにあるが、希望に頼ったり、持ったりすることで、皆が幸せに向かえる大切なものだと感じた。そして何より、そうして皆が一緒の方に向かい、今を変えようと行動をすることが重要だと私は思った。今、世界ではあらゆる場所で、小さな誤解や偏見から生まれた争いが起きている。私は、皆でもっと視野を広げ、団結し、世界を変えようと努力することが大切だと思う。



①小学校6年生・前編


②小学校6年生・後編


③中学校3年生・前編


④中学校3年生・後編