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才教ダイアリー

元気の伝染

投稿日:2015.08.31

 昔と違って地域の人たちとの結びつきが薄れつつある今日、日常的にあいさつをする習慣を身に付けることができなかった子供たちは多く、才教学園でも、全ての児童・生徒がいつでも元気よくあいさつができる、という理想までにはまだ届いていません。


 夏休みが終わり、一週間が過ぎる頃のことです。


 気持ちのよいあいさつが響き渡る中学校にするためにはどうすればよいかを考える生徒総会が臨時で開かれました。


 偶然、生徒総会の前の時間に、学級であいさつの練習を行いました。男女で二人組を作り、お互いの挨拶の声、気を付けの姿勢、礼の角度等の確認をしました。普段あまり話をすることがなかった組も多かったのですが、和気あいあいとした雰囲気の中でお互いに細かいところまで注意し合う姿が見られました。最後には二人ずつ前に出てクラス全員にあいさつを披露しました。首の動きやあいさつの声など、各組とも何度かやり直しをしながらも、ある程度あいさつの型を整えることができました。


 そのこともあり、生徒総会の中でクラスごとのあいさつ練習をする際に、ある程度そろったあいさつを見せることができました。進行役の3年生からもほめられました。


 問題は、その後です。


 学級に戻り、余った時間であいさつ練習をすることになりました。倫理委員会を中心に、という指示だったので、倫理委員会の5人が前に出て練習をすることになったのですが、なかなか全員そろって声を出すことができない。さらに、他の生徒も、一部を除いてなかなか元気な声が出ない。結局いつもとあまり変わらない状況になってしまったのです。
 変わらないなあ、と、思っていた時です。なかなか声を出せずにいた倫理委員会の女子が一人、いつもとは違う声を出しました。確かに男子の太い声にはかないません。しかし、彼女が精一杯の声を出そうとしている意識は他の女子にも伝わりました。一人の声が二人の声になり、三人の声になり、学級全体に伝わっていきました。声を出していくうちに、教室全体の雰囲気も盛り上がってきました。声を出せば楽しくなる、楽しくなれば声は大きくなる。好循環です。一人の意識が全体を変えた、大きな出来事でした。


 毎日一緒に過ごしていれば、体調のすぐれない日もあります。なんだか元気の出ない日もあります。家族とけんかして家を出てくる日もあります。誰もがベストの状態で朝の会を始められるわけではありません。しかし、逆に言えば、誰もが元気がないということもないはずです。元気な一人が二人になり、二人が三人になり、よいチームは元気を伝染させることくらい、わけのないことです。


中学校1年B組 担任