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才教ダイアリー

自主研究

投稿日:2016.02.27

理科の原点は「なぜだろう」という「好奇心」から始まり、驚きとともに「もっと調べてみよう」と実験・観察を繰り返す「探究心」で深まっていきます。単に先人が開拓した道をそのまま辿るのではなく、そこに「自分なりに考え」「自分なりの工夫」を加えることが大切です。


 


少し前の話題ですが、ほとんどの小学校では、夏休みの宿題の一つに「自由研究」があります。児童も保護者の方も何をしたらいいのか困り、理科を教える私は「何をテーマにしたらいいでしょう?」という質問をよく受けます。思うに「研究」と名は付いているものの、その多くは強制されて仕方がなくするもので、書物やインターネットの資料をただ写しただけの「調べ学習」であったり、単なる「昆虫や植物の採集」であったり、というレベルに留まっているようです。


 


才教学園では、小学56年生で全国規模の「自然科学観察コンクール」(通称:シゼコン)に参加するために夏休みの宿題として「自由研究」が課せられますが、現在小学34年生では、自由研究の宿題を出していません。それは、およそ「研究」と呼べるものを成し遂げるには、テーマの設定から準備、実験・観察、それをまとめるまでにかなりの時間と労力が必要であり、相応の覚悟が求められるからです。したがって、小学34年生には夏休み前に「研究とは何か」という話をして、小学56年生で行う自由研究に向けて、その準備期間と考えてテーマを探してほしいと説明しています。そうした中、宿題でもないのに、自主的に自由研究を出してくれる子が毎年現れます。実に嬉しいことです。


 


昨年は、3年生の女子児童Nさんがマクワウリ(真桑瓜)の観察をし、模造紙にその研究成果をまとめてくれました。こうした研究を、強制されることなく、自主的に行う気持ち、それはとても貴いと感じ、休み明けの理科の授業を使って、みんなに紹介する時間を作りました。「ぜひ今から身の回りの不思議に目を留めて5年生からの自由研究の序章として、どんなテーマを研究するのかを探してください」と。


 


今年もまた、そうしたチャレンジャーが現れました。それは夏休み中ではなく、2学期が始まってから、テレビで面白そうな実験を見て感化され、実際に自分で確かめてみようとするものでした。


 


何の前触れもなく、突然朝、職員室に現れた4年生の女子児童Aさんは、「ちょっと面白そうだったので実際にやってみました。」と言って一冊のノートを差し出しました。そのノートの表紙に書かれたタイトルは「はんとうめいたまごが作れる?作れない?」


 


生卵を丸ごと1個酢に浸けて3日間で半透明の卵を作るというものでした。1日目に卵の周りに泡がついてくるくると回り、2日目には表面全体が泡で覆われ「ビールみたいになった」と自分なりの表現で観察した様子を書いてくれています。3日目には卵は半透明にはならなかったものの、握った瞬間に卵が割れて殻から黄身がこぼれ落ち、その殻は柔らかく薄くなり、「黄身は固くなって、まるでミカンのようなオレンジ色に変化していた」と記されています。


 


実験は成功しなかったものの、結果を待つ間のドキドキした気持ちや、予想外の結果に驚きながら自分なりの観察をして、「とてもおもしろかった。」と感想を書いてくれました。


 


「なぜだろう」から始まり、驚きとともに「もっと調べてみよう」へつながる。この自主的に取り組む前向きな姿勢を、ぜひ今後も持ち続けてほしいと切に願うと共に、それに負けじとこちらも児童の好奇心をくすぐる話題を提供していかなければと実感しました。


 


小学3・4年 理科担当