投稿日:2019.12.25
国語の時間に、「ずうっと、ずっと、大すきだよ」の学習をしました。 初めて物語を読んだとき、多くの子が「エルフが死んでしまって、悲しかった。」という感想を持ちました。 そんな中、ある子が「となりの子が子犬をくれると言ったのに、もらわなかったのはどうしてだろう。」という疑問を口にしました。 「たしかに…」と首をかしげる子どもたち。 「もらった犬が死んでしまったら、また悲しい思いをするから。」 「となりの子がかわいそうだから。」 本当にそうでしょうか。 授業は、この疑問を解決することを目標に進めることとなりました。 挿絵や本文から、主人公の「ぼく」が、赤ん坊のころからエルフという犬と一緒に育ってきたこと、一緒に眠っていたこと、一緒に遊んでいたことが分かりました。 しかし、エルフと「ぼく」とでは年の取り方が違います。「ぼく」の成長よりも早く、エルフは年を取ります。 毎日世話をする「ぼく」は、階段を上れなくなったエルフを抱きかかえて自分の部屋まで連れて行き、寝るときには、「エルフ、ずうっと、大すきだよ。」と声をかけるのです。 「ぼく」がエルフに枕をあてがう場面で、最初は「ぼく」がエルフを枕にして眠っていたことに気付いた子から、「エルフにしてもらったことを、『ぼく』がお返しにやってあげている。」という意見が出ました。 さらに、「ぼく」が毎晩一緒に寝ていたから、エルフが死んでしまったことに一番早く気付いたのではないかと想像しました。昨日まで温かかったエルフが、今日は冷たく動かない……それがどんなに辛いことか、みんなが自分のことのように考えました。 そして改めて、はじめの疑問に戻るのです。 「となりの子が子犬をくれると言ったのに、もらわなかったのはどうしてだろう。」 「悲しみでいっぱいだから。」 「エルフのことが忘れられないから。」 「エルフの代わりはいないから。」 「エルフは家族だったから。家族の代わりはいないから。」 物語を丁寧に読んできた子どもたちは、「ぼく」が子犬をもらわなかった理由をきちんと想像できたようです。 学習の最後に、もう一度感想を書きました。 *** 赤ちゃんのときからずっといっしょで、エルフがしぬまで「ぼく」がせわをして、まいばん「大すきだよ。」といっていました。かいだんをのぼれなくなっても、のぼらせてあげるのが、やさしいとおもいました。だから、エルフは「ぼくの犬」なんだとおもいました。「せかいでいちばんすばらしい犬」なのは、大すきといういみだとおもいました。いまは、エルフのことでこころがいっぱいだから、となりの子から子犬をもらわないんだとおもいます。はじめは、かなしいおはなしだとおもっていたけど、べんきょうをしたら、かなしいだけじゃなくて、うれしいこともたのしいこともあったのがわかりました。だから、だんだんじかんがたったら、また犬をかいたい気もちになるかもしれないとおもいました。ほかのペットをかっても「ずうっと、ずっと、大すきだよ。」といってあげられるのが、やさしいとおもいました。 *** 困っている人の話、怒っている人の話、悲しんでいる人の話、そういう話をいっぱい読むと、少しずつですが、そういう人たちの気持ちがわかるようになります。人の気持ちがわかると優しい人間になれます。優しさというのは、言わば想像力のことです。 冬休み中も、心が豊かになるような本をたくさん読んで、想像力を育みましょう。 1年1組担任