投稿日:2020.09.15
今年度は、新型コロナの影響で5月末まで臨時休校となり、さらに学校が再開してからも、放課後活動の自粛によって数才クラスの開講がなかなかできずにいました。廊下ですれ違う度に、「いつ選抜テストをやるんですか?」と聞いてくる生徒もいて、活動を心待ちにしている様子が伺えました。選抜テストを実施できたのが6月末、ようやく活動開始となったのは7月のことでした。
例年であれば、5月から算数オリンピックの難問をたっぷり練習し、6月に本番を迎えるわけですが、今年はいろいろと事情が変わってしまいました。会場での開催は中止、希望者による自宅受検となったのです。数才クラスとして参加できなかったことはとても残念でしたが、個人で申し込みをして自宅で参加した生徒が何人もいたようで、そのチャレンジ精神を誇らしく思いました。
夏休み前の1学期最後の数才クラスで、生徒たちにある提案をしました。
「いつもよりだいぶ短い夏休みではあるけれども、休み明けまでに、ひとり1問、とっておきの問題を作ってこないか」と。
実はこの取り組みは昨年から始めたもので、
1.必ず解ける問題であること
2.解説も作成すること
3.皆が「解きたい!」と思える、
魅力的な問題にすること
という条件のもと、算数・数学に関する問題を作成します。
予想通り、いや予想以上に生徒たちは大喜びで、やる気満々。早速、鉛筆片手にあれやこれやと考えをめぐらし始めました。そして夏休みが明けて提出された問題は、生徒たちの知恵と、算数・数学への熱い思いが詰まった素晴らしい力作ばかりでした。ここで、そのごくごく一部を紹介します。
〔5年生が作成した問題〕
ある男の子がいました。その人は1歩に0.5秒かかり、歩幅は85cmです。家から○駅まで6.8kmあり、家から○駅まで歩かなければなりません。駅から次の駅まで3分45秒かかります。そして駅と駅の間は全て等間隔です。学校に近い△駅は〇駅から7つ目の駅で、△駅から学校までは7.5kmあります。
△駅から学校まで、時速30kmの車で移動する時、家から学校までは何分何秒かかりますか。
一つ一つの条件に工夫がされており、きちんと解ける良問です。
〔6年生が作成した問題〕
あなたは今、心理テストを受けている。相手はこう言った。
「ここに3枚のカードがある。この内の2枚は裏に「当たり!おめでとう!」と書いてある。あなたは今からこの内の1枚を選べ。」
あなたは1枚のカードを正直に選んだ。すると相手は、もう2枚の内の1枚を裏返し、当たりかハズレであることを公表してくれた。
このとき、あなたは選ぶカードを最後に残った1枚に変えるべきであろうか?
ただし、相手は正直者で決して嘘はつかないとする。
最後に相手はこう言った。
「これで当たりが出たら、賞金1兆円を差し上げよう。宝くじよりすごいぞ。」
問題に引き込まれていきますね。この問題には続き(応用問題)がありますが、紙面の関係上紹介できないのが残念です。
〈その2へ続く〉
数才クラス担当
数才クラス
5年生以上の生徒を対象に、週1回開講。特に算数・数学が大好きな生徒が在籍し、算数オリンピック大会へ向けたハイレベルな問題、思考力を鍛えるための問題などさまざまな領域で演習と講義を行う。