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才教ダイアリー

描く力は生きる力 ~授業で行うクロッキーの意味~(2)

投稿日:2023.09.22

 アートやデザイン関係の仕事をする人以外、絵など上手く描けなくても社会で生きていけます。美大受験を目指す人以外、試験で画力を試されることもありません。誰もがいつでもスマートフォンで写真が撮れる現代、絵を描く力などなくても全く困りません。


 しかし、例えばお医者さんが、病気やけがの状況・治療法を患者さんに説明する時。わかりやすい絵や図を交えて説明してくれたら、患者さんはより安心してくれるでしょう。
 また、会社の会議でのプレゼンテーション。上司や同僚にアピールをするため、わかりやすい絵や図を活用できれば、評価はきっと上がるでしょう。
 これらはほんの一例ですが、長い人生の中では、言葉での説明より絵で表した方が早い、その方が合理的・効率的ということはたびたびあります。絵を描く力が、ピンチを乗り越えるのに役立つ日があるかもしれません。


 絵を描く力は、ないよりあった方が得です。だから、練習できる今のうちに高めようと子どもたちには話しています。
 見た形を正しく絵で表すことは、三次元の立体を二次元の平面に表すという、目と手と脳の連携を要する高度な知的活動です。それは、成長段階にある子どもの脳と神経を確実に発達させるでしょう。また、絵の上手・下手とは、ただ単に子どもの頃の練習量・経験値の多少に過ぎないと私は考えます。幼い頃に覚えた自転車の乗り方を生涯忘れないように、見えたものを正しく描くコツを一度つかめば、それは一生使える「生きる力」となることでしょう。


 高校では美術科は選択教科となり、人生の中で美術を学ぶのは中学時代が最後、となる人も多いと思います。才教学園に学ぶ生徒全員、絵を描くスキルを少しでも高めて卒業してほしいと願い、今日も子どもたちと一緒にクロッキーに取り組んでいます。


図工・美術科担当

現7年、Kさんの作品。左は2019年(4年生)、右は2023年(7年生)

現8年、Hさんの作品。左は2018年(4年生)、右は2023年(8年生)

現9年、Kさんの作品。左は2017年(4年生)、右は2023年(9年生)