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才教ダイアリー

国語の授業より② ~小学校6年生・後編~

投稿日:2021.09.27

国語科担当・6学年担当



 初見で、賢治が大の石好きだったことに何となく気付けていたり、多彩な表現のよさ・描写や展開の謎に踏み込んでいたり、幻灯・五月・十二月という大事な要素とその不思議な雰囲気にも目を向けていたりと、今後の授業の幅が広がる感想がたくさんありました。



 以下は、その後に少し予備知識を入れてから取り組んだ、気になって仕方のなかった「クラムボン」についての考察です。仲間とも交流しながら、考えとその根拠を言葉にまとめていきました。



◆クラムボンは、太陽のことだと思います。その理由は、かにの視点から魚が上にいる時は『死んで』いて、魚がどこかに行ったらすぐにまた「笑って」いるからです。遮られたりまた照らされたり。その直後に「日光の黄金」についての表現が続いているのも理由です。



◆クラムボンは、プランクトンなどの微生物のことかもしれません。「魚がお口を輪のように円く」してきて食べられてしまったり、1匹だけではなくたくさんいるのでまた笑っていたり......死んだり、笑ったり、魚に取られてしまったり、それを悪いことと言っていたりします。



◆クラムボンというのは、かに達でいうところの「泡」だと思う。泡が生まれたり、水面へ行って消えたりといったことを「笑った」「死んだ」などと表現しているのでは? 「かぷかぷ」は泡の音。5月にしか言っていないので、語彙力が無くてそう表したのでは? 父も言っていない。かに兄弟の泡の比べ合いのシーンがある意味にも繋がると思う。



◆クラムボンは、『クラム』は、英語で貝という単語だから、貝に関係した何かだと考えられます。かぷかぷという擬音語も、二枚貝だとしっくりくる気がします。



◆クラムボンは、かに達やイーハトーブの空想の生き物のことで、特に正体は無いと思います。兄と弟が、それで言葉遊びをしていて、弟は結局「知らない」と言っているような流れ? 兄が「知らない」と答えている? どちらが何を言っているか分からないように書いている。



◆クラムボンは、かに達の母か、他の兄弟姉妹のことだと考えました。なんで死んだのか、どこに行ったのかよく分かっていない感じがします。「こわいところ」の話も、子ども達にはよく理解できていませんでした。配布された「永訣の朝」で出てくる、賢治の死んだ妹を重ね合わせているのかもしれません。



◆クラムボンは、『生きる』『死ぬ』ことのイメージ?のようなものだと思う。5月は生き物の目覚めや誕生をイメージするけれど、ここでは『死』のイメージの方が強く感じた。魚がカワセミに食べられてしまったり、白いかばの花が散っていたり......やまなしの実が落ちてきて、そのうち腐るところも何か関係していそうに思う。



 描写や情景にはしっかりと目を向けながらも、一人ひとりがしっかりと意見を持っていますね。この単元での授業は、もう少し続けます。これから、更に文章を読み解いて、どう学びが深まっていくのかとても楽しみです。



①小学校6年生・前編


②小学校6年生・後編


③中学校3年生・前編


④中学校3年生・後編