投稿日:2020.10.23
中学校の学習指導要領が来年度から改訂されます。この流れを受け、教科書も内容が新しくなります。改訂は、「急激な社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」ために行われるもの。
その資質・能力を育てるためには、3つの観点として「①学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性等の涵養」「②生きて働く知識及び技能の習得」「③未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力等の育成」が必要とされています。そして、これに沿って、学習の評価も変わっていきます。中でも、①の文言にみられる「学びに向かう力」として「主体的に学習の取り組む態度」が評価の対象となることは、どの教科においても当てはまります。
では、「主体的に学ぶ」とはどういうことか。それを説明すると、「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげよう」となります。対話的な学びを通して身につけ、深い学びにつなげていくものです。
7年生(=中学1年生)の理科では状態変化について学習しました。固体⇔液体⇔気体と状態が変化するのに伴って、粒子間隔の大きさや密度が変わることや、純粋な物質では状態が変わるときの温度は一定であり、特有の値(融点や沸点)を持っていることを学びます。
液体食塩(おなじみの食塩は800℃ほどまで熱すると透明な液体になる)や液体窒素(マイナス196℃)を使った実験をする中で、『液体の二酸化炭素がない』ということに疑問を持った生徒がいました。彼はどうしたら液体二酸化炭素を作ることができるかを自分で調べ、ペットボトルを使って見事に作り出したのです。これぞまさに、「主体的な学び」を深めた姿です。
***
【生徒の生活記録より】
ペットボトルにドライアイスを入れてふたを閉め、しばらく放置しました。すると…! うまくいきました! 雪が融けるようにゆっくりかと思いきや、ドライアイスは液体になりだしてからあっという間にすべて液体に。
1回目、興味があってボトルを振ってみたら、なぜか液体は消えてしまいました。これはなぜですか?自分で考えてもわかりませんでした。
2回目、ボトルを振っても液体は消えず、大成功。二酸化炭素を液化できました。
さらに興味深いことに、ふたを開けたら、ある程度の二酸化炭素(と空気)が出ていったところで、ポッとポップコーンが膨らむように液体が固体に戻ったのです。面白い!
***
また、イカの解剖実習をした後に、「家でも他種のイカの解剖をして水晶体を確認してみました!」という生徒もいて、授業での学びをきっかけに考えを広げていく才教生の姿は、正に新指導要領を先取りしている姿だと感じます。
生徒の真摯に学ぶ姿勢と学習意欲にいつでも応えられるよう、教員側も自己の資質向上に努め、研鑽を積みたいと思います。
理科担当
実験:液体窒素にシャボン玉を浮かべ凍らせています
実習:スルメイカの解剖
投稿日:2020.10.20
本年度から本校で取り入れたオンラインでの英会話プログラム「JPAL」。5年生は3週間に1回、6年生から9年生は週に1回、リモート形式で海外の先生と会話をしています。授業数はもう10回以上になり、教室は生徒たちの楽しそうな会話であふれています。 このプログラムの特徴の一つとして、先生は担任制のため、広く深い内容を話すことができます。「JPAL」の先生たちにはシラバス(学習の内容や進め方、授業計画のこと)や本校で使用している英語教材を渡し、生徒が今どの部分を学習しているかを随時把握していただいたうえで、オンライン授業を行っています。こうした着実な積み重ねができているレッスンではフリートークの時間も設けていて、そこでは自分の趣味や将来の夢について話したり、自分の好きな食べ物や自分のペットの写真を持ってきて見せたり、中には「折り紙をしましょう」と先生を誘って一緒に鶴を折ったりとトピックスは様々です。生徒の話をきっかけに、先生方は会話を大きく楽しく膨らませてくれます。 始まった頃は、先生の言うことを理解しきれず困っている様子も見られました。また、自分の言いたいことを英語でどのように伝えればよいか分からず、私に助けを求めてくることもありました。 しかし私は、それほど多く助け舟を出しません。それはなぜか。生徒には、「たとえ間違えても、何とか自分の力で伝える」ことに挑戦してほしいからです。 「先生、お願いします!」と声を掛けられることも回を重ねるにつれて少なくなり、今ではほぼありません。生徒たちは、ジェスチャーを交えたり、知っている単語を駆使したりと、ずいぶんたくましくなりました。どこかおじおじしていた最初のころに比べると、随分と『伝える力(会話力)』が伸びてきました。 苦労があったとしても、一歩踏み出して伝えようと努力すること、それこそがコミュニケーションの根幹をなすものだと私は思っています。それを乗り越えれば、他人に自分の思いを伝えることの楽しさ、「自分の言葉で伝えられた!」という喜びが生まれます。オンライン英会話を通して、通常の授業ではなかなか行うことができない話す力(スピーキング)を一層伸ばし、楽しく、生きた英語力を育成していきたいと思います。 英語科担当
投稿日:2020.10.17
2020年はベートーヴェン生誕250周年のアニバーサリーイヤーにあたるということもあり、5年生はさいきょう祭で「交響曲第五番(通称『運命』)」より第一楽章と第四楽章を演奏することになりました。4年生までは、見てくれる人たち(もちろん自分たちも)を楽しくさせられるような演目でもありましたが、今年は「クラシック音楽の格好良さ・厳粛さをいかに表現できるか」に挑戦します。 台詞や動作、特殊な衣装は一切なし。演奏一本での勝負です。 また、今年『運命』を演奏することには、ベートーヴェン生誕250周年の他に、もうひとつ大きな意味があります。 新型コロナウィルスの影響で、例年通りの規模で行えないさいきょう祭。学年別の演目は縮小となり、全校合唱はもとより、3年前から7~9年生が毎年歌い、新たな伝統となりつつあった『第九』の合唱も取りやめとなりました。 厳しい練習を乗り越えて例年迫力のある声を響かせてくれていた7~9年の代わりを、「今年は5年生が務める!」とはおこがましいのですが、同じくらいの感動を観客に届けられるようなステージをお見せしたいと思います。 「どんな気持ちでこの曲を作曲したのかを常に意識して、作曲家と作品に失礼のない演奏をしたい。」 「第一章では作曲家の情熱を、第四楽章では5年生の元気さと明るさを表現したい」 「聴いた人が新しく思い入れを持つくらいの演奏をしたい」 「この学年でしかできない演奏、オーケストラを超えるインパクトのある演奏を目指す」 このような思いを胸に、5年生は毎日練習に取り組んでいます。 15日(木)には、校内リハーサルが行われました。早速、ビデオで自分たちの演奏を振り返ると、「今までで一番良かったと思うが、まだ全然できていない」「暗譜ができていないから、指揮者を見ていない人が多い」「演奏以外のところ、表情や雰囲気作りも必要だと思う」「今の演奏では、何を表現したいのか上手く伝わっていないのではないか」など、本番2週間前だというのにたくさんの課題が…。 スローガン『超越』に重ね合わせ、昨日までの自分を超える、完成だと思った瞬間を超える、自分の限界を超える……『第五』の演奏が、みんなの大きな成長の糧になることを祈っています。 5年3組担任
投稿日:2020.10.09
どこを見ても、コロナの感染拡大防止対策をとる生活が続いています。 今年は、全国高校野球選手権大会、いわゆる「夏の甲子園」やインターハイ、中体連(中学校体育連盟)関係の試合・大会が軒並み中止…といった内容が報じられました。 数年にわたり部活動に打ち込んできた中学・高校の3年生は、集大成の場が消えてしまった、または縮小せざるを得なかったことに、いたたまれない気持ちを抱えたでしょう。 そうしたニュースも少なくなってきた昨今、各所で調整が進み大会や試合を行えるようになってきました。私が本校で指導する卓球部も、10月末に開催される新人戦に参加することを決定しました。 みんなで大会に参加できることに感謝しつつ練習に励む毎日、9年生の背中を追うように、8年生や7年生も本当によく頑張っています。 「ここまでやってきた練習の成果を出したい」 「ひとつでも多く勝ち星を上げたい」 「一緒に部活に励んできた仲間との時間を大切にしたい」 様々な制約がありながらも、ひたむきに取り組んできた生徒たちの目に光が戻ったようで、とても嬉しく思います。自分たちが目指すもの、それに向けてやるべきことがはっきりと輪郭を持ち、勢いづく卓球部です。 しかし、大会への参加を喜ぶと同時に、大きな変化も受け入れなくてはいけません。 そのひとつは、「会場での声援は拍手のみ」ということ。 「応援に後押しの力あり」といいますが、特に全員が一丸となって臨む団体戦やチーム戦では、いい流れを呼び寄せたいときになかなか士気を上げられず、歯がゆく思います。試合中は、生徒も私も手のひらを真っ赤にして応援の気持ちを届けるのですが、直接声をかけてあげられない、チームメイトの名前を呼ぶことができない…と、なんとも言えないもどかしさがあるのです。 それでも私は、みんながやり抜くことを信じ、精いっぱいの声援を送ります。 みんな、最後まで頑張れ! コロナなんかに負けるな! 卓球部顧問
投稿日:2020.10.06
今年、1年生と2年生の遠足の目的地は、アルプス公園(松本市蟻ヶ崎)でした。「アルプス公園に行って遊んだことがあるよ!」という声を生徒たちからたくさん聞きましたが、そのほとんどが「ファミリーゾーン」と称される場所へのお出かけです。 しかし、今回は少々チャレンジを伴う「遠足」とし、公園北側からのコースを選びました。上級生である2年生は、1年生をリードして歩きます。 「今年は、ぼくたち、私たちが1年生を連れて行くんだ!もし1年生が『疲れた』とか言うことがあれば、『あともう少しだから頑張ろうよ』と励ましてあげるんだ!」 昨年、自分たちが今の3年生と一緒に活動したときの経験からでしょう、2年生はこのような気持ちで遠足に臨みました。 まず1年生と2年生でペアを作り、お互いに自己紹介。ちょっぴり緊張しながらも、自分たちから名乗っていた2年生です。 天気は遠足日和とはならず、雨が降ったり止んだりの状況でしたが、みんな元気に歩き始めました。事前にどのようなルートを歩くのか学習していた2年生は、先輩としてしっかりと1年生をリードしていました。 ルート最大の難所である「養老坂」。ここは急な坂道になっていて、まず2年生が先行して坂を登り、その後に1年生がついていくことにしていました。坂を上り始めて間もなく雨足が強まり、「これは結構きつい!」「まだこの先は長いのかな…」と、そんな言葉が出始めました。すると、すかさず「弱音は吐かない!」と友達から叱咤激励の声。 「ここは滑るから気をつけて!」 「足元をよく見ながらだよ。」 声を掛け合って登りつつ、「1年生は大丈夫かな。ついてこれるかな…」と、1年生を気遣う言葉も聞かれ、先輩としての自覚があることを感じました。やがて全員が無事に登り切り、約7kmの道のりを制覇しました。 おいしいお弁当でお腹を満たした後は、「小鳥と小動物の森」を散策し、短時間でしたが「子ども冒険広場」でも遊ぶことができました。最後に1年生と2年生でお礼を言い合い、帰りのバスに乗車しました。 帰校後、子どもたちに感想を聞いてみたところ、「養老坂は大変だったけれど、楽しかった」という内容が多数を占めました。大変なことを乗り越えたときの充実感を感じられたようです。他には「1年生と仲良くなれて嬉しかった。」「1年生を励ますことができた。」子も多く、そこには、1年生のことを思って声を掛けることのできた自信と先輩としての頼もしさが感じられました。 2年1組担任
投稿日:2020.10.02
9月18日に、1・2年生は合同遠足で松本市アルプス公園へ行きました。6月の予定が延期となっていただけに、子どもたちの楽しみもひとしおです。
今回歩いた山道のコースには、2人が横に並んで歩けないくらい細い道や、急な登り坂である「養老坂」という場所がありました。さらに当日は雨で足元がぬかるみ、1年生にとってはやや過酷なものとなってしまいました。
それでも、2年生に手を引かれ「悪天候もなんのその!」と、どんどん進んでいく1年生。入学時からの心身の成長を感じました。
ふと、「この後、みんなで虹が見られたらいいね!」という声。
みんなの気持ちが、より高まりました。
山道を歩き終えたころには雨も止み、シートを広げてお弁当の時間です。それまで疲れた表情を見せていた子どもたちも、お家の方が作ってくれたお弁当を食べて笑顔と元気を取り戻したように見えました。
遠足の後半は「小鳥と小動物の森」を散策。シカ、サル、イノシシ、ポニーやクジャクなどを間近に見た子どもたちの目はとても輝いていて、教室を飛び出した1日で様々なことを学び、感じることができただろうと思います。
雨で濡れたり汚れたりすることを嫌がり気持ちが沈んでしまうかなと思っていた私の心配は杞憂に終わり、子どもたちが互いに励まし合って頑張る姿や、元気いっぱいに遊ぶ姿、可愛らしいカッパ姿に癒された遠足でした。
道中、2年生のおにいさん、おねえさんたちの励ましのおかげで、1年生は誰ひとりとして弱音を吐くことなく最後まで歩き切ることができました。
もし来年、1年生と一緒に活動するときは(もちろん、もっと大きくなってからも)、自分たちがそうしてもらったように、周囲の人に前向きな言葉をたくさん伝えられる人になっていて欲しいです。
1年3組担任
投稿日:2020.09.25
今年に入ってから新型コロナウイルスの影響により、各地でも学校休業や行事の延期・中止などが相次ぎ、才教学園でも三大行事の一つである体育祭が中止となりました。
体育祭は小中一貫校の特性を活かしつつ、生徒一人ひとりが徹底して勝負にこだわり、学年や立場を超えて全員が一致団結してチームの勝利を目指すものです。毎年、生徒は「今年も優勝する!」「今年こそは絶対に優勝する!」「先輩を目標に!」という思いを抱きながら体育祭に挑んでいます。しかし、今年の体育祭は、学校としても苦渋の決断で中止せざるを得なくなりました。多くの生徒や保護者のみなさん、そして教職員も楽しみにしていた行事であっただけに非常に残念でなりません。
三大行事としての体育祭は中止になってしまいましたが、2学期の授業参観を利用して、9年生だけの『ミニ体育祭』を実施することが決定しました。「9年生には何とか最後の体育祭をやらせてあげたい」という思いで、校長先生をはじめ学年の先生が時間を調整してくれたのです。
授業参観当日。グラウンドの準備を自分達でササっと行い、生徒たちはすぐに入場門へ移動。9年生45人の体育祭です。
思い返せば、8年前の体育祭の会場は、今では恒例となったやまびこドームではなく、まだ学校のグラウンドでした。1年生だったあの頃は、最初の笛の合図からしばらく経つと徐々に列が崩れていったものです。何度行進の練習をしても、手足が一緒になってしまったり、張り切り過ぎて曲に合わせられなかったり…。そんな頃を懐かしく思い出している私のそばで曲がスタートし、「最高の仲間」との「最後の入場行進」が始まりました。
◆8年前=1年生◆
◆現在=9年生◆
いかがでしょうか?
小さな体で一生懸命に行進していたころと比べると、その差は歴然。
今年は日常的な学習のほかさまざまなことに追われるような毎日で、体育祭の練習にかける時間はほとんど確保することができませんでした。そのような状況にも関わらず、一糸乱れることなく凛々しい姿を見せてくれた9年生。目に焼きつくほど美しく、私は素敵な行進に目を奪われ、これをしっかり目に焼き付けておこうと思いました。
その後、生徒たちはミニ体育祭本編のタイヤ取りでも全力を出し尽くし、共に戦い抜いた仲間と喜びや悔しさを分かち合うことができました。
才教学園の体育祭での入場行進は最後となりましたが、9年生にはこれからも自分が進むべき道を信じて力強く歩み続けてほしいと願っています。
9学年担当
投稿日:2020.09.18
中学校課程で生徒が出会う教科が「技術科」です。 まず製図の学習を終え、次の課題は木材加工です。「のこぎりや金づちなどの道具を使うのは、ほぼ初めてに等しい」という生徒も多数いる中、今年、皆が挑戦する教材の第一歩は“ペン立て”です。 彼らが作るペン立ては小さな教材ではありますが、色々な要素が盛り込まれています。作業の工程は、材料への製図である「けがき」からスタートします。差し金を使って線を引く生徒たちの目は、「1ミリも間違えないように!」と、真剣そのものでした。 線の点検後、材料を固定してのこぎり引きに移ると、最初に刃を入れる位置がなかなか定まらない…と、幾分苦戦している場面も見られました。ここをクリアするため、生徒たちは「こうしたらいいよ」「こんな角度で刃を入れると楽だよ」などと声を掛け合い、お互いに協力している姿を見て、私はこう思うのです。 「今年の7年生(=中学1年生)も、次に渡す難易度の高い本教材をきっと上手に扱っていけるだろう。」 さて、最近は技術科にも新しい波が押し寄せ、プログラミングが必修となりました。このプログラミングは、次世代の大きな課題です。しかし、どことなく、技術科本来の醍醐味である「ものづくり」の割合が減ってきている気がします。 本校の生徒は、7年だけでなく、8・9年生も「ものづくり」が大好きです。加えて、そこには「単に作ることが好き」というだけではなく、でき上がった作品のクオリティーも高いということを指導者として感じています。手を使うこと、材料の温もりや香りを感じることなど、五感を使った授業ができるような指導で生徒たちに必要な技術を身につけてもらうことも、本校が謳っている感動体験の一角を構築するものと考え、今日も技術室で生徒たちを待つ私です。 技術科担当
投稿日:2020.09.15
〈その1からの続き〉
〔7年生が作成した問題〕
a2+b2+c2=2020 であるとき、
自然数a、b、cを求めなさい。
ただし、a<b<cとする。
よく答えが見つかったなぁ、と感心してしまいます。
〔9年生が作成した問題〕
「とっとこハ○太郎」の主題歌を聞いて分かる通り、そう、彼は滑車でまわることが大好きなのです。そんな彼はある日、いつも通り直径20cmの滑車で遊んでいました。
次の条件のとき、彼が合計10,000回転するときにかかる時間を求めなさい。ただし、答え方は何時間何分何秒で答えなさい。
条 件 |
|
① |
通常時、すばしっこい彼は1分間に滑車を100回転します。 |
② |
いくらハ○太郎と言えど疲れることがあります。連続で500回転したら、10秒かけて逆方向に10回転して減速し、滑車をとめて水を飲んで休憩します。 |
③ |
②で逆回転したときには、通常の向きで回った回転数から逆回転で回った回転数をひいて、合計回転回数とします。 |
④ |
滑車をとめた15秒後には、休憩を終えてふたたび滑車をまわり始めます。 |
⑤ |
1分間に100回転する速さになる前には、10秒かけて10回転をして加速する必要があります。 |
⑥ |
休憩するまでの500回転の中には、⑤の加速するための10回転も含むものとします。 |
⑦ |
スタートは滑車にとまって乗っている状態とし、加速時や減速時を除いて、回る速さは一定とします。 |
読んでいてわくわくしますね。条件がとても丁寧に設定されているので、小学生であっても試行錯誤して解けるのではないかと思います。
問題文に対する質問や、解説に対する指摘など、活発に意見交換をしながら解き合いました。「これよく考えたな~ 面白いな~」という心からの言葉があちこちから溢れ、とても充実した時間を過ごすことができました。
数才クラス担当
※生徒が作成した問題の掲載にあたり、意図を変えない範囲で文章を添削しています。(その1、その2共通)
投稿日:2020.09.15
今年度は、新型コロナの影響で5月末まで臨時休校となり、さらに学校が再開してからも、放課後活動の自粛によって数才クラスの開講がなかなかできずにいました。廊下ですれ違う度に、「いつ選抜テストをやるんですか?」と聞いてくる生徒もいて、活動を心待ちにしている様子が伺えました。選抜テストを実施できたのが6月末、ようやく活動開始となったのは7月のことでした。
例年であれば、5月から算数オリンピックの難問をたっぷり練習し、6月に本番を迎えるわけですが、今年はいろいろと事情が変わってしまいました。会場での開催は中止、希望者による自宅受検となったのです。数才クラスとして参加できなかったことはとても残念でしたが、個人で申し込みをして自宅で参加した生徒が何人もいたようで、そのチャレンジ精神を誇らしく思いました。
夏休み前の1学期最後の数才クラスで、生徒たちにある提案をしました。
「いつもよりだいぶ短い夏休みではあるけれども、休み明けまでに、ひとり1問、とっておきの問題を作ってこないか」と。
実はこの取り組みは昨年から始めたもので、
1.必ず解ける問題であること
2.解説も作成すること
3.皆が「解きたい!」と思える、
魅力的な問題にすること
という条件のもと、算数・数学に関する問題を作成します。
予想通り、いや予想以上に生徒たちは大喜びで、やる気満々。早速、鉛筆片手にあれやこれやと考えをめぐらし始めました。そして夏休みが明けて提出された問題は、生徒たちの知恵と、算数・数学への熱い思いが詰まった素晴らしい力作ばかりでした。ここで、そのごくごく一部を紹介します。
〔5年生が作成した問題〕
ある男の子がいました。その人は1歩に0.5秒かかり、歩幅は85cmです。家から○駅まで6.8kmあり、家から○駅まで歩かなければなりません。駅から次の駅まで3分45秒かかります。そして駅と駅の間は全て等間隔です。学校に近い△駅は〇駅から7つ目の駅で、△駅から学校までは7.5kmあります。
△駅から学校まで、時速30kmの車で移動する時、家から学校までは何分何秒かかりますか。
一つ一つの条件に工夫がされており、きちんと解ける良問です。
〔6年生が作成した問題〕
あなたは今、心理テストを受けている。相手はこう言った。
「ここに3枚のカードがある。この内の2枚は裏に「当たり!おめでとう!」と書いてある。あなたは今からこの内の1枚を選べ。」
あなたは1枚のカードを正直に選んだ。すると相手は、もう2枚の内の1枚を裏返し、当たりかハズレであることを公表してくれた。
このとき、あなたは選ぶカードを最後に残った1枚に変えるべきであろうか?
ただし、相手は正直者で決して嘘はつかないとする。
最後に相手はこう言った。
「これで当たりが出たら、賞金1兆円を差し上げよう。宝くじよりすごいぞ。」
問題に引き込まれていきますね。この問題には続き(応用問題)がありますが、紙面の関係上紹介できないのが残念です。
〈その2へ続く〉
数才クラス担当
数才クラス
5年生以上の生徒を対象に、週1回開講。特に算数・数学が大好きな生徒が在籍し、算数オリンピック大会へ向けたハイレベルな問題、思考力を鍛えるための問題などさまざまな領域で演習と講義を行う。